近畿2府4県の自民党の若手議員らの会合後の懇親会で行われた“過激ダンスショー”をめぐる問題。懇親会の参加者の一部は、スマートフォンなどでショーを撮影していた人に注意し「流出したら終わり」との声もあがっていたといいます。当時の状況について参加者を取材しました。
■下着のような衣装のダンサーにチップを口渡し「流出したら終わり」「目のやり場に困った」
13日の参院予算委員会で立憲民主党の塩村文夏議員が出したのが、首に手を回し男性の上にまたがって座る女性の姿が映る写真のパネル。女性は露出の多い服装で、男性の口にはチップらしきものがくわえられ、“口移し”で渡そうとしているように見えます。
問題となっている“過激ショー”が行われたのは、去年11月、和歌山市内のホテルで行われた自民党の「青年局近畿ブロック会議」で、衆院議員や地方議員ら約50人が参加していました。
参加者の一人は「会議を終えた午後6時ごろ、宴会が始まるといきなりダンサーが現れた。ミニスカートやホットパンツなどのやや露出の多い衣装で、壇上で踊っていた。この段階で違和感があったが、ダンスを終えると下がっていったので、そのまま宴会を続行した」と振り返ります。
複数の参加者によると、懇親会が始まって約2時間後、再びダンサーが壇上に上がります。1回目の衣装とは異なり、今度は下着のような衣装で壇上で踊った後、各テーブルへと散っていったといいます。ダンサーに対し、“口移し”でチップを渡される場面もあったということです。
参加者の一人は「目のやり場に困ったので周りのテーブルは見ていないが、他の議員らと『流出したら終わり』と言いながら、撮影している人に注意してもらったりしていた」と明かしました。
■企画した県議は「多様性の問題提起」「口移しは想定できていなかった」
会合を主催したのが、自民党和歌山県連で青年局長をつとめていた川畑哲哉県議です。和歌山県庁で11日に取材に応じた川畑県議は「会合でテーマとして掲げた『多様性』『ダイバーシティ』というテーマに沿った和歌山にゆかりのある方で、問題提起として、メッセージ性の高い諸々の要素の中から最終的にダンサーを選択して、私から提案した」と釈明しました。
川畑県議は「パフォーマーに対して花束やチップを渡すということは想定していた。ダンサー1人につき1000円をチップとして渡せるように5000円を用意していた」と話し、県議自身もダンサーの1人に対してチップを渡したといいます。
チップについては「私のホスピタリティとして(チップなど)させていただかないといけないと思っていた」とする一方で、一部の参加者が行った“口移し”については「口移しまでは想定できていなかった」と話しました。
川畑県議は離党届を提出し、8日付で県連の青年局長を退任しています。
■“口移し”男性は世耕前参院幹事長の秘書「謹慎を申し付ける」
さらに、ダンサーに対して“口移し”でチップを渡していた男性について、和歌山県選出の世耕弘成・前参院幹事長の秘書の男性であることが判明しました。
14日、自民党安倍派のパーティー券の“キックバック”をめぐる問題で、参院の政治倫理審査会に出席した世耕氏は、会合に秘書が出席したことを認めた上で「あのような写真が撮られるのは極めて不適切。秘書の監督責任として厳しく注意し、謹慎を申し付けている」と釈明しました。
前日の参院予算委で、立憲・奥村議員に「懇親会の意義が『多様性』ということでした。総理の目指す多様性と一致しているのか」と問われた岸田首相は、「言うまでもなく私、そして私の内閣の目指す多様性とは、まったく合致いたしません」と答弁しました。
“裏金”問題に揺れる中で沸き起こった“過激ダンスショー”問題。 自民党和歌山県連は「会合の費用は自民党本部と県連などが負担していて、公費は使われていない」とし、岸田首相も「女性の身体を触ったといった不適切な事実は確認されたものはないと報告を受けている」と強調しています。
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