自民に自浄能力なし 次の選挙まで覚えておこう(2024年3月4日『毎日新聞』)

松尾貴史さん作
松尾貴史さん作

 インターネットのSNS上では「#確定申告ボイコット」というハッシュタグが付けられた投稿が急増している。これを受けて、岸田文雄首相は「承知している。国民の信頼回復に向けて、強い覚悟を持って臨まなければならないと感じている」とコメントした。

 「強い覚悟を持って」「強い危機感を持って」「党の信頼回復のための組織を立ち上げる」は彼が昨年から言い続けていることだが、その実何も進んではいない。それどころか、その調子で2カ月が過ぎ、もう「強い覚悟」が何の覚悟なのかがわからない状態になっている。12月半ばには、自民党の政治資金問題などについて、岸田氏は「説明責任を果たしていく」「信頼回復に向けて火の玉となって先頭に立つ」と格好のいいことを言っていた。「火の玉」の表現は、「この状況に対する強い危機感を総理・総裁である私こそが最も強く感じているという意味を込めた」という意図だそうだ。

 ところが、先日、野田佳彦元首相から「(衆院政治倫理審査会を)公開にするように指示せよ」と追及された岸田氏は、「国会で判断されるべき」という逃げ口上でかわそうとした。やはり口先だけの決意表明だったことが「火の玉」を見るよりも明らかだ。「火だるまになって取り組む」というニュアンスではなく、「ヒュードロドロ」と幽霊と共に消えていく人魂(ひとだま)の方だったようだ。「国会で判断されるべき」は一見建前とし…