洋の東西を問わず、古代の権力者は時間も支配した。中国発祥の旧暦は太陽の運行とのズレを調整するため、閏(うるう)月を置いた。閏の字は門の中に王。月初めに祖先を祭る宗(そう)廟(びょう)にいた王が閏月は宮殿で過ごしたとされる
▲閏年を採用したのが古代ローマの独裁官、ユリウス・カエサル(シーザー)だ。太陽年に近づけたものの128年に1日の誤差があり、後には「春分」に真東から太陽が昇らなくなった。カトリック教会は16世紀にグレゴリオ暦(西暦)に改暦した
▲対立する東方正教会はユリウス暦を守った。現在の西暦とのズレは13日。信徒の多いロシアは1月7日にクリスマスを祝う。実はギリシャなど多くの正教会は100年前から修正ユリウス暦を用い、西暦と差はない
▲ロシアに侵攻されたウクライナの正教会も昨年から修正暦に変えた。ロシアの影響を消そうとクリスマスの祝日を12月25日にしたゼレンスキー政権と同一歩調を取った
▲今日は4年に1度の2月29日。といっても19回先の2100年は平年である。グレゴリオ暦は100で割り切れ、400では割り切れない年を閏年にしないルールで誤差を約2600年に1日に縮めた
▲近代以降、複雑でキリスト教色が濃い西暦の改暦案が検討されてきた。年に1日か2日の曜日のない「ワールドデー」を設けて毎年の曜日を固定し、同じカレンダーが何度も使える「世界暦」も考案された。分断された今の世界では望み薄だが、各国の総意で改暦が実現する未来が来ないものか。