▼袋の形を変更したのは、プラスチック削減が理由。業界全体で取り組んだ。あるメーカーはプラスチック使用量が28%削減されたという。当たり前を見直すことで、環境に優しく費用も削減され「八方よし」となった
▼当たり前を見直す動きとして、通学かばんに注目が集まる。那覇市教育委員会は、ランドセル以外のかばんも選択できるよう、市内全小学校に周知する。発端は沖縄市の山内小学校が保護者に同様の通知をしたこと。高額な購入費が負担になる家庭への配慮があった
▼「ランドセルでなければいけない」というルールはなく、各学校に対応は任されている。那覇市では外国籍の子どもの増加も背景にあるという
▼違うかばんを持つ子に肩身の狭い思いをさせてはいけない。学校だけでなく保護者やかばん業界を巻き込みながら、形や価格など選択肢の幅を広げることが「八方よし」の鍵になる。
「慣例としてランドセルを購入し使用するご家庭は多いと思いますが、実はランドセルでなければならないと決まっているわけではありません」
手紙では、小さな体に背負うことで心身に悪影響が出る「ランドセル症候群」や、高額であることの懸念を指摘。通学かばんはランドセルでなくても軽く丈夫なものならよく「通学かばんにふさわしいものを選んでいただきたい」としている。 ランドセルの使用は各学校の判断に任されている。 山内小学校でもこの手紙を出す以前からランドセルを義務としていなかったが、現在も児童のほぼ全員がランドセルで登校しているという。
森山涼子校長は、以前から児童のほぼ全員がランドセルを使うことに疑問を抱いていた。
「周りと同じ物がいい」という気持ちもあると推測するが、「さまざまな形を受け入れる社会になり、子どもたちには自分で物事を選ぶ力をつけてほしい」と期待する。 ランドセルが負担になっている家庭の状況なども考え、他校の校長とも相談した上、手紙を出すことを決めたという。
2日に開催した入学説明会でも改めて説明した。児童の祖父母から特に良い反応があったという。保護者からはありがたいが、子どもがほしがるならランドセルを購入するとの声も届いているという。 森山校長は「慣習にとらわれず、家庭で相談して選択をしてほしい」と述べた。