施設で乳児死亡 「うつぶせ寝」は厳禁で(2024年2月19日『東京新聞』-「社説」

1才までは「うつぶせ寝」させちゃダメってホント?|たまひよ

 1才までは「うつぶせ寝」させちゃダメってホント?|たまひよ

 

 安全意識の欠如と指摘せざるを得ない。東京都世田谷区の認可外保育施設=写真=で生後4カ月の男児が就寝中に死亡した。職員が窒息や乳幼児突然死症候群SIDS)のリスクが広く知られている「うつぶせ寝」をさせた結果とみられる。施設はもちろん家庭でも1歳ごろまでのうつぶせ寝は厳禁を徹底したい。


 男児は昨年12月、布団に顔を真下に向けた状態で発見され、搬送先の病院で死亡が確認された。男児の口や鼻が当たっていた布団は多量の唾液でぬれていたという。


 男児の母親は施設に預ける際、うつぶせ寝は避けるように伝えていたが、職員間では「寝付きがいい」などの理由で黙認されていたという。就寝中の様子を見守る体制も不十分だった可能性があり、警視庁は業務上過失致死容疑での立件も視野に調べている。


 水戸市の認可外施設で2016年と18年に連続で発生するなど、毎年数十人がうつぶせ寝により命を落としているとみられる。こども家庭庁は、特別な事情がある場合を除き、うつぶせではなくあおむけで寝かせるよう、徹底を求めているが、施設側があおむけ状態からうつぶせになったことに気付かず、死亡したケースもある。


 「認可外」といえども自治体には法的に立ち入り調査、指導が義務付けられている。世田谷区は昨年7月の定期調査で、うつぶせ寝が常態化していたとみられる、この施設の安全管理体制をなぜ見逃したのか。原因究明と再発防止策を強く求めたい。幼い命を預かっている以上、当然だが、乳児の状態を常時見守る人的体制を整えねばならない。そのうえで、うつぶせ寝が続くとアラームで知らせてくれる機器の導入など、リスク管理に万全を期す責務がある。


 うつぶせ寝はかつて「頭の形が崩れない」といわれ、むしろ推奨する風潮もあった。こども家庭庁はうつぶせ寝に加え、ベビーベッドを使う▽乳児の顔近くに口や鼻を覆ったり首に巻き付いたりするような物を置かない▽顔が埋もれないよう敷布団や枕はできるだけ硬めにする-など、注意を呼び掛けている。各家庭でも心したい。