「舞台は約3時間の長丁場ですが、ブランクを感じさせない堂々としたせりふ回しと、圧倒的な存在感に会場の視線が釘付けになっていました。“完全復活”を印象付ける熱演で、早くも彼女の代表作にふさわしい傑作との評判も聞こえてきます」(芸能リポーター)
【写真】肩出しのチューブトップ姿の沢尻エリカ。37才、街中にて他 舞台で真剣な表情の沢尻、極ミニ姿の24才の沢尻、19才の着物姿も
世間を騒がせた薬物事件から4年余り。沢尻エリカ(37才)が表舞台に帰ってきた。
沢尻の女優復帰作にして、初の主演舞台『欲望という名の電車』はアメリカの劇作家、テネシー・ウィリアムズの名を世に知らしめた不朽の名作。1947年にブロードウェイで初演されて以来、ジェシカ・タンディやヴィヴィアン・リーなど数々の名優が主演のブランチを演じてきた。
「日本でもたびたび舞台化され、杉村春子さんや栗原小巻さん、大竹しのぶさんが演じて高い評価を受けました。DVや同性愛、人種差別など、現代にも通じる数々の問題を内包したストーリーで、ヒロインのブランチは上流階級から転落し、愛に破れて精神が崩壊していく難役。2012年の映画『ヘルタースケルター』で狂気的な役を演じた沢尻さんにとっても、大きな挑戦となりました」(前出・芸能リポーター)
2月10日に東京・新国立劇場で初日を迎え、満席の観客が沢尻の“女優復帰”の瞬間を見届けた。 「ブロンドのロングヘアを振り乱し、舞台を所狭しと駆け回る沢尻さんの一挙手一投足に観客の視線が集まっていました。東京全12公演、大阪全6公演は、チケットの発売と同時にソールドアウト。注目度の高さをうかがわせます」(前出・芸能リポーター)
2020年2月に薬物事件で執行猶予付きの有罪判決を受けて以来、沢尻はいっさいの芸能活動を休止して更生に努めてきた。一度は本気で引退することを考えたものの、休業中に出会ったファンの“辞めないでほしい”、“応援しています”という声に鼓舞され、不安を抱きながらも復帰を決意したという。
「彼女の背中を押したのはファンだけではありません」と言うのは、ある舞台関係者。 「沢尻さんの楽屋口に、青地に白い文字で彼女の名前が書かれたのれんが掲げられているのですが、そののれんは彼女が尊敬してやまない薬師丸ひろ子さん(59才)からの贈り物なんです。
沢尻さんをイメージしたトリコロールの周りに彼女を応援する人々や薬師丸さんのイニシャルが描かれた温かみのあるデザインで、薬師丸さんが自ら考えて作られたものだとか。もちろん共演者の間でも評判になっています。薬師丸さんの思いを知った沢尻さんは涙が出るほど喜んでいたそうですよ」(舞台関係者)
沢尻と薬師丸の出会いは約20年前。2005年に放送された初主演ドラマ『1リットルの涙』(フジテレビ系)の共演がきっかけだった。 「脊髄小脳変性症を発症した実在の少女の闘病記をベースにした物語で、薬師丸さんは沢尻さんが演じた主人公の母親役を務めました。ドラマは最終回の視聴率が20%を超える大ヒットを記録し、沢尻さんの出世作になりました」(前出・芸能リポーター)
共演は一度きりだが、シリアスな役からコメディーまで難なくこなし、年を重ねても少女性を失わない薬師丸は、常に憧れの存在であり続けた。沢尻は後のインタビューでこう振り返っている。
《当時19歳だった私は、役や台詞へのこだわり方、俳優としての矜持、そして品格。演技の素晴しさはもちろんですが、それらすべてを備えた彼女の姿に感銘を受けたことを覚えています》(『GINGER』2024年3月特別増刊号)
のれんを受け取った沢尻は稽古にも一層熱を入れて取り組んでいたという。
「すさまじい集中力を発揮して役作りに没頭し、稽古の2日目にはほとんどのせりふが頭に入っていたそうです。
当初は映画やドラマとは勝手の違う舞台の現場に戸惑うこともあったようです。特に周囲が懸念したのは声量で、舞台では会場に行き渡る声を腹の底から出さなければならない。もっとも、その心配は杞憂に終わり、共演者も“沢尻さんって、こんなに声が出るの?”と驚いていたほど。
現場では誰よりも早く稽古場に入り、若手の役者に“こんなふうに演じてみたら?”とアドバイスするなど、すっかり座長の風格を漂わせていたそうですよ」(前出・舞台関係者)
4年越しの復活劇の裏にあった“母”のエール。本番のカーテンコールでは感極まった沢尻が涙ぐむ一幕もあったという。
※女性セブン2024年2月29日・3月7日号