ライドシェア、しっかり助走を(2024年2月14日『琉球新報』-「金口木舌」)

 週末になればどこの居酒屋もいっぱいだ。コロナ禍を抜け、ようやくにぎわいを取り戻した。心配なのは飲酒運転の横行。「飲んだら乗るな」を厳守したい

▼お酒が付きものの夜型社会と車社会が絡み合う沖縄で重宝されるのが運転代行。富山県黒部ダム建設をきっかけに生まれたというのが定説らしい。山奥で働き、休日に町中で羽を伸ばす労働者のために飲食店側が考え出したシステムだったそう


▼車社会で飲酒の習慣が他県より多い沖縄にぴったり合った。事業者数は全国最多。今では全国展開する運転代行配車システムも生まれた


▼社会課題は新しい制度やビジネスのきっかけになる。全国的なタクシー運転手不足を背景に「ライドシェア」が注目されている。石垣市では一般ドライバーがタクシーを運転する「石垣版ライドシェア」が4月から始まる


▼業界では運転手不足で車両が余る問題も。高まる観光需要と合わせ、悩みに応える妙手となるだろうか。まずは安全第一。新システムとドライバー、ゆっくりしっかり助走をつけてほしい。