事実上の政策協定に当たる「推薦確認書」に署名し、推薦状を受け取っていたとされる。
文科省は宗教行政を所管する。昨年10月には高額
献金被害の訴えが相次いでいるとして
東京地裁に教団の解散命令を請求した。
請求を決断した盛山氏は教団による被害の実態を解明した上で厳正に対応するよう、指揮しなければならない立場にある。選挙支援が事実なら、教団側に配慮が働く懸念が拭い切れない。
盛山氏は野党側の辞任要求に応じず、
岸田文雄首相も更迭を否定する。だが、疑惑を抱えた人物が
文科相の職責を果たせるのか。はなはだ疑問である。
選挙支援を巡る一部報道を受け、盛山氏は連日、
衆院予算委員会で野党の追及を受けている。
推薦状については「写真があるなら頂戴したと思う」と事実上認め、確認書に関しても「サインしたかもしれない」と述べた。
それでも「選挙支援を依頼した事実はない」と開き直った。説明を尽くそうという姿勢がまるで見られず、不誠実極まりない。
昨年9月に
文科相に就任した盛山氏は22年9月公表の
自民党調査で「関連団体の会合に出席し、あいさつ」した議員に入っていた。
教団側との関係が取り沙汰されていたにもかかわらず、22年8月の
内閣改造で続投した
山際大志郎元経済再生担当相は、接点が次々に発覚して辞任に追い込まれた。
その反省もなく、盛山氏を
文科相に起用した首相の責任は重い。
林芳正官房長官はきのうの記者会見で、21年9月に教団関連団体の関係者と地元の
山口県で面会していたと明らかにした。
首相も党
政調会長だった19年に教団の友好団体トップらと党本部で面会していたと昨年12月に写真付きで報じられた。
後から新たな接点が判明して弁明に追われる事態が続く。
自民党調査のずさんさが改めて浮き彫りになったと言わざるを得ない。
教団と
自民党との関係は半世紀以上に及び、教団の関連団体が掲げる
同性婚反対や
改憲などは党内の保守派の主張と共通点が多い。
現職議員だけでなく、教団側と関係が深かったとされる
安倍晋三元首相や
細田博之前
衆院議長らも含めて再調査を行い、関係が築かれた経緯や政策への影響の有無を明らかにすべきだ。