政治資金の透明性確保を目的とする政治資金規正法の趣旨に反する「脱法行為」にほかならない。明確な説明を首相に求める。
任意団体による会費制の催しは収入が1千万円未満なら規正法による制約はなく、収支を報告する義務はない。収益を政党・政党支部に献金することも合法だ。首相は「地元政財界が発起人の純粋な祝賀会」であり、収入も1千万円未満だったと主張する。
しかし、立民は首相の事務所が祝賀会の連絡先となり、経理や受付も担っていたと指摘し、首相自身も会費の振込口座開設などを事務所が手伝ったと認めた。実態は任意団体の主催ではなく、収支報告が必要な政治資金パーティーではなかったのか。
こうした手法がまかり通るなら実体のない任意団体が会費制の会合を開いたことにして収益を政党支部に寄付すれば、政治資金パーティーの代替になり得る。規正法を改正してパーティーを全面的に禁じても実効性に乏しい。
「抜け穴」をふさぐには、企業・団体献金を全面禁止する必要があるが、首相は企業の「政治活動の自由」を理由に否定的だ。
首相は自身の脱法的な資金集めを改めるか否か明言せず、岸田派の元会計責任者が略式起訴された規正法違反事件の政治責任も明らかにしていない。規正法改正の具体策にも踏み込んでいない。
政治の信頼回復に向け「私自身が先頭に立つ」というが、その決意を疑わざるを得ない状況だ。