タイでは23日、アジアでは台湾とネパールに次いで3例目となる、同性どうしの結婚を認める法律が施行され、税金の控除や遺産相続など異性間の結婚と同等の権利が認められるようになりました。
会場には、シンボルカラーの虹色や色鮮やかな花々で装飾された写真スポットも設けられ、カップルたちが結婚証明書を手に写真を撮るなどして喜びを分かち合っていました。
タイは性的マイノリティーに比較的寛容な国として知られてきましたが、同性どうしの結婚はこれまで法的に認められず、長年、当事者団体が法制化を求める中、おととしの政権交代をきっかけに同性婚を認める法案が議会で可決されました。
専門家「日本にとってもインパクトがあると思う」
タイで同性婚を認める法律が施行されたことについて、同性婚をめぐる世界の議論の現状に詳しい明治大学法学部の鈴木賢教授は「タイは東南アジアのリーダーであり、周辺国に対して大きな影響力を持つ国だ。日本にとっても親しみのある国で、インパクトがあると思う」と話しています。
カップルは家族として認められたことを祝福
イベントには、法制化にあわせて婚姻届を提出したプラタナー・シーモドゥさん(45)とタナワン・ディープラサークンさん(50)の女性のカップルも参加し、法的に家族として認められたことを祝福しました。
プラタナーさんは11年前、交通事故で全身に大けがを負い、緊急手術を受ける必要がありましたが、病院からは手術の同意書に署名できるのは家族のみと言われ、タナワンさんは署名できませんでした。
結局、タナワンさんは、プラタナーさんの家族が病院に来てくれるのを待つしかなく、その間、容体が急変しないかどうか気がかりだったということです。
当時は、プラタナーさんの家族や親族から交際を認められていなかったため、連絡を取るにも苦労したといいます。
タナワンさんは「私にできることは何もなく、とても胸が痛んだ」と当時を振り返りました。
そのうえでタナワンさんは「婚姻届が受理された時、まさか涙が出るとは思わなかった。窓口の職員が婚姻届に署名してくれるのを見て夢がかなったことを実感した」と喜びをかみしめていました。
同性婚の法制化を実現したタイですが、一方で、当事者への偏見や差別は根強いのが実情です。
首都バンコクで性的マイノリティーの人たちのメンタルケアなどに取り組むクリニックによりますと、性的マイノリティーであることで仕事に就けなかったり、家族にも理解してもらえなかったりするなどしてうつ病を発症するケースも多いということです。
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