再審無罪が確定した浜松市中央区の袴田巌さん(88)の支援団体は1日、裁判の結果を市民に伝える「袴田裁判報告大会 無罪!その先に」を同区のアクトシティ浜松で開いた。登壇した袴田さんは「なかなか静岡地裁に勝てなかった。最後には勝った。輝かしい勝利の日を迎えております」などと語った。
報告大会は「袴田さん支援クラブ」がこれまで続けてきた学習会の最終回として開催。支援者が押す車椅子で会場入りした袴田さんは大きな拍手で迎えられ、「長い闘いでございました」と切り出した。「先に闘いを捨てなかった。喜ばしい事実が、最近やっと実った」と述べた。姉ひで子さん(91)に促され「どうもありがとうございました」と頭を下げた。静岡地裁の裁判長として再審開始と釈放を認めた村山浩昭さんと握手を交わした。
ひで子さんは、2014年の1度目の再審開始決定が出た日から「もう勝ったと思ってきた。検察庁の都合でやっていただけ」との認識を示した。「冤罪(えんざい)被害者はたくさんいる。まだ今のうちは元気。再審法改正へ頑張る」と言葉に力を込めた。
学習会は17年から月1回ほどのペースで計84回開き、裁判経過や刑事司法の課題などを発信した。
やり直し裁判=再審で無罪が確定した袴田巌さんがきのう、2014年に再審開始と釈放を決めた元裁判官と無罪確定後、初めて顔を合わせました。1日、浜松市内で支援者が開いた集会に車いすに乗って出席した袴田巌さん。集会には静岡地裁の元裁判官で2014年に再審開始と袴田さんの釈放を決めた村山浩昭弁護士も参加しました。無罪確定後、初めて対面した村山さんが見守る中、袴田さんは姉のひで子さんとともにマイクを握りました。
(袴田巌さん)
「長い闘いでございました」「静岡地裁になかなか勝てなかった。最後には勝ったということで輝かしい勝利の日々を迎えています/どうもありがとうございました」
感極まった様子で袴田さんと握手を交わした元裁判官の村山さん。集会では再審法改正の必要性をあらためて訴えました。
(村山浩昭弁護士)
「勝ちましたねと。巌さんがあいさつの中でようやく勝てた、裁判所に勝ったんだと何度もおっしゃっていたので、本当に勝ったことを理解されているんだなと思って、私も嬉しかったものですから」「あまりにも長すぎますよね。だって何もしていないのに死刑になりかかったし、58年ですからね。想像を絶すると思います」「無罪になって良かったねと、とてもそれだけで済む話ではない」