【斎藤知事公選法違反問題】「警察の最高幹部会議はまだ」 当局は「トクリュウ」のほうが重要という認識(2024年12月2日『デイリー新潮』)

社長は「SNSを統括していた」
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兵庫県知事選で再選した斎藤元彦氏
 兵庫県知事選で再選した斎藤元彦知事陣営のSNS運用について、兵庫県西宮市のPR会社社長が戦略の立案を自身が統括したなどとウェブサイトに投稿した件をめぐって公職選挙法違反などの問われるのではないかとの指摘が出ている。斎藤知事自身はもちろん代理人弁護士もその指摘を否定したが、斎藤知事の擁護派とアンチ派それぞれが主張を展開するSNS上では泥試合が続いており、またテレビでも色々な見方が錯綜している。では、この件について捜査当局は事態をどのように見ているのか。
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 斎藤知事は11月27日の定例会見でPR会社の社長が投稿した「SNSを統括していた」との内容について「事前に私は一切見ていませんし、そういった発信をするということも聞いていません。内容自体も一切確認していないし、発信された後に知りました」と述べ、PR会社社長の振る舞いに戸惑いがあることを明らかにした。
“盛っている”との認識
 斎藤知事からPR会社に依頼したのはポスター制作を含めた約70万円の対価の支払いに伴う業務だけで、それ以外はボランティアとして対応してもらったとの認識を示した。代理人弁護士も会見で同様に語り、「“広報全般を任せてもらった”という(PR社長の主張の)部分は全く事実ではないと考えている。“盛っている”というように認識している」と述べた。
「知事と社長とで主張が真っ向から対立する形になりました。公職にある立場での発言と弁護士の証言があるのに対し、社長側はウェブサイトでの投稿以降、発信を控えています。不都合と見られる発信を削除していることもあり、現状、知事側の主張の方に分があるようには見えますね」
 と、社会部デスク。PR社長が自己PRを狙うあまり事実ではない内容を流布してしまったとの見方だ。
弁護士会見の意味
「ただ、弁護士が会見するということは事態の収拾、火消しを狙ってのことなのは間違いないですが、それはなかなかうまく行かなかったようですね。よほど決定的なことでない限り何を言ってもSNSで突っ込まれるという実状はあるにせよ、例えば“盛っている”などという言葉づかいは一般の会話で使うのは良いとして、この場合で用いるにしては曖昧なところが多く、実態を説明するには不適当なものでは、普通なら使わないのではとの指摘がありました。あの弁護士の方の口癖なのか何なのかわかりませんが、あえて使っているのだとしたら現状をそこまで深刻に捉えていないということなのかも知れませんね」(同)
 公選法の規定では選挙が告示(公示)されればウグイス嬢への謝礼など一部の例外を除いて関係者に報酬を支払うことは許されず、ボランティアが基本だ。総務省のキャリア官僚出身で自身が候補者の選挙を過去2回経験する斎藤氏がそういった公選法の実態を知らなかったはずがないとの指摘もある。
捜査当局はどのように見ているのか
 一方で、捜査当局は現状をどのように見ているのか。
刑事告発が行われれば対応が必要になってくるわけですが、警察庁としては距離感があり“地方の一案件”くらいの捉え方のようです。単純比較はできませんが、例えば匿名・流動型犯罪グループ(トクリュウ)による犯罪は“世間を震撼させ社会不安を煽っており対応は喫緊の課題”との認識があります。事の深刻さから考えれば、当然でしょう。今回の公選法違反疑惑は世間の一大関心事になっているように見えますが、事実に基づかない主張や訴えもSNSで散見され、それが大きな波紋を呼び、大手メディアも“参入”することで事態が大きくなっているのが実態という印象です。捜査当局もその辺りは冷静に対応している印象ですね」(同)
 重要案件では警察庁関連部局による最高幹部会議が必ず開催されるのだが、この件についてはまだ開かれていないとされる。
公選法違反が疑われる決定的な証拠が出て来れば話は変わってきますので今後の推移を見極めてということになるとは思います。ただし、SNSでの異常な盛り上がりについても警察は関心を持っているとのことです。過熱するSNSもまた旬のテーマではありますからね」(同)
 この場合の関心の対象は、根拠なき私見の流布も含まれる。他人に乗せられて、あまり軽々しく過激なコメントなどは書かないほうがいいのは言うまでもない。
デイリー新潮編集部