茨城大付属小の重大いじめ 文科省統計調査に「調査済み」と虚偽回答(2024年8月23日『東京新聞』)

茨城大教育学部付属小学校=水戸市三の丸2で2023年4月2日午後2時46分、森永亨撮影

茨城大教育学部付属小学校=水戸市三の丸2で2023年4月2日午後2時46分、森永亨撮影

 茨城大教育学部付属小学校(水戸市)が2021年に「重大事態」と認定したいじめについて法定の調査や文部科学省への報告を1年以上怠っていた問題で、茨城大が22年に文科省統計調査で「第三者により調査済み」と虚偽の回答をしていたことが、毎日新聞の取材で判明した。実際は未調査で、その後も被害児童側が求めた第三者による調査を学校側が拒否していた。

 保護者の弁護士らによると、いじめは21年4月ごろ発生。当時4年の女児が同級生から悪口を言われるなどして6月ごろから休みがちになり、付属小は11月、いじめが理由で不登校が長く続く重大事態と認定した。

 いじめ防止対策推進法は学校側が重大事態を把握した際、速やかに調査組織を設け、再発防止に向けて事実関係を明確にするよう義務付けているが、付属小は認定後も調査を1年以上行わなかった。23年1月に女児の保護者が第三者による調査を求めた際にも「第三者委による調査の必要はない」と拒否した。

 一方、茨城大は22年5月、文科省が全国の小中高校などを対象にいじめなどの実態を調べる「問題行動・不登校調査(問題行動調査)」で、21年度の重大事態の発生件数を1件と回答。内数を尋ねる質問でも「調査済み」を1件、「調査を行うための組織が第三者のみで構成されている」を1件としていた。関係者によると、21年度に付属小で発生した重大事態は女児のケースのみで、回答は全て女児に関するものを指すという。

 いじめ防止法に基づく手続きが取られているかを保護者が確認する中で、茨城大は23年2月になって文科省に重大事態の発生を報告。だが、保護者が文科省に情報開示請求した発生報告書によると、茨城大は未調査にもかかわらず、女児や保護者の意向について「第三者委設置による再調査」と記していた。

 茨城大は23年4月、未報告に関する毎日新聞の報道を受け、太田寛行学長名で「問題行動調査で報告を行っていた。統計調査における報告をもって重大事態の報告を兼ねると誤認した」と釈明する声明をホームページで公表。6月の保護者との面談で、問題行動調査について尋ねられた担当理事が「重大事態が1件と報告した」と述べたが、虚偽の回答をしたことには触れなかった。回答の詳細を明らかにするよう求めた保護者に対し、大学はその後も「統計調査以外の目的で開示できない」として1年以上応じなかった。

 一連の経緯について毎日新聞は22日に茨城大に質問状を送付。同大は23日、24年6月28日に文科省に回答の修正を申し入れたと発表し、太田学長名で「誤った回答をしたことについて深くおわび申し上げる。関係者の皆様の信頼を大きく損なうもので、深刻に受け止めている」などと謝罪した。

一方、文科省の担当者は「重要な調査について回答に誤りがあったことは遺憾。修正の申し入れを受けており、これを踏まえて適切に対応する」としている。【西夏生、斎藤文太郎】

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本学教育学部附属小学校におけるいじめ重大事態への対応について

 本学教育学部附属小学校(以下、附属小)で発生したいじめ重大事態への対応に関する報道がメディアに掲載されています。報道をご覧になり、附属小や大学の状況について不安や懸念をもたれた方も多いことと思われます。
 記事で言及されている、附属小及び教育学部におけるいじめ防止対策推進法等の諸制度への認識の不足、それに起因する文部科学省への重大事態の個別報告の遅延、並びに報告状況についての被害児童保護者に対する説明の誤りがあったことは事実であり、これらのことについて、附属小及び教育学部では、4月6日に被害児童及び保護者に謝罪をしました。
 なお、これらの事態の背景には、ガバナンスに関する深刻な問題があると考え、設置者である法人として第三者調査委員会を速やかに設置することとし、事態の客観的な把握と再発防止に向けた取り組みを進めてまいります。
 附属小では、これまでも児童たちのケアを第一に、全校を挙げて教育的配慮をもって対応してまいりました。引き続きすべての児童たちのケアに全力で努めてまいります。
 また、本法人としては、すべての教育学部附属学校園の幼児・児童・生徒及び保護者の皆様に安心していただけるよう、附属学校園の運営に関わるガバナンス上の問題の改善に真摯に取り組んでまいります。

三者調査委員会の設置について

今回の事態に係る対応状況

今回の事態についての声明

学生、教職員への対応について