衆院選後も混乱不可避 自公過半数割れの可能性、連立拡大模索か 産経・FNN終盤調査(2024年10月21日『産経新聞』)

 
自公党首会談で連立政権合意書を交わす自民党石破茂総裁(右)と公明党石井啓一代表=9月30日午後、国会内(春名中撮影)

産経新聞社とFNNが合同で実施した衆院選の情勢調査では「自公過半数割れ」となる可能性があり、その場合、連立政権の再編を含む政界の混乱は避けられない。石破茂首相(自民党総裁)が政権維持を図り、新たな政党の連立参加や閣外協力を模索する展開になりそうだ。

派閥パーティー収入不記載事件への反発はやまず、首相は議席減を覚悟の上で衆院解散に踏み切ったが、自公過半数割れなら想定を超える。

「厳しい情勢だ。日本維新の会立憲民主党はどんな政権を作ろうとしているのか。外交・安全保障、社会保障、農業政策が全然わからない」

首相は21日、大阪府寝屋川市での街頭演説でこう語り「日本国の独立性を必ず守っていけるのは自民と公明党の連立政権しかない」と訴えた。

自公過半数割れの場合も、政権交代が起きる公算が大きいわけではない。立民単独では過半数に遠く及ばず、衆院選後の特別国会の首相指名選挙で野党が一致して立民の野田佳彦代表に投票するとも考えにくい。維新は立民との違いを鮮明にし、共産党は142の小選挙区で競合した。

とはいえ自公政権が続いても、衆院過半数割れでは行き詰まる。自民の森山裕幹事長は20日NHK番組で、連立の枠組み拡大に言及した。

過半数割れしようとしまいと、同じ政策をもって国の発展を図ろうという政党とは前向きに協議していくべきだ」

特定の政党を念頭に置いてはいないとも説明した。党内では、新たな連立パートナーとして憲法改正などで方向性が近い維新や国民民主党がささやかれている。ただ、両党は自民の政治改革の姿勢に批判的で、連立協議は難航しそうだ。

首相自身が掲げた「自公で過半数」の勝敗ラインが未達成となれば、自民党内では首相の責任論が強まるとみられる。特に多くの前職が非公認や比例重複立候補禁止に処された旧安倍派は反感を募らせている。

情勢調査では小選挙区で劣勢の旧安倍派候補が目立った。衆院50人以上だった旧安倍派の勢力減少は避けられない。党幹部の一人は「『石破おろし』は起きない」との見方を示したが、公明内から重視する来年夏の参院選東京都議選前の首相交代論が出る可能性もある。(田中一世)