②別姓を理由に事実婚した戎光璃さん(26)に聞く
◆相手にも無理に改姓させたくない
2019年に、自分と同世代のZ世代に特化した企画やマーケティング支援の会社を起業しました。私が結婚で名字を変えるとなると、免許証やクレジットカードなどの名義変更に加え、代表としての会社のさまざまな書類の手続きもしなければならない。仕事のキャリアが途絶えたように見えてしまうのも嫌でした。周囲の女性起業家にも「別姓を選べないから事実婚にした」という人が増えていると感じます。
昨年、別姓を理由に事実婚をした戎光璃(えびす・ひかり)さん=東京都内で
もともとは、パートナーが名字を変える前提で婚姻届も準備していました。でも、親戚の意見も踏まえて2人で考え直し、提出は保留に。相手にも無理に改姓させたくないのです。
今の民法では、結婚でどちらかが必ず姓を改めなければいけませんが、現実には改姓するのは女性が圧倒的多数。不便や不利益などが女性に偏っている事実があるので、希望する人は別姓にできるようにしてほしいと思います。
◆10年経った今も、まだ制度がないなんて…
高校生の頃から、おぼろげに「結婚で名前を変えたくない」と思っていましたが「10年後には選択的夫婦別姓制度ができているだろう」と楽観視していました。ところが、今もまだ制度がないなんて…。
別姓を選べれば結婚する、という若い世代は一定数います。当事者が多くいる世代として、1日でも早く制度をつくってほしいと、政治家に伝えたいです。(聞き手・奥野斐)
◇