衆議院選挙が公示 政治改革や経済政策など論戦へ(2024年10月15日『NHKニュース』)

第50回衆議院選挙が公示されました。
今回の選挙は、与党が過半数議席を確保して連立政権を継続するのか、野党が勢力を伸ばして与党を過半数割れに追い込むのかが最大の焦点となります。
12日間の選挙期間中、政治とカネの問題を受けた政治改革のあり方や物価高対策をはじめとする経済政策などをめぐり、激しい論戦が交わされる見通しです。

第50回衆議院選挙は15日に公示され、小選挙区比例代表、合わせて465議席をめぐって争われます。

NHKのまとめによりますと、14日までに、
小選挙区で1108人
比例代表単独で230人
合わせて1338人が立候補を予定しています。

政党別では、小選挙区比例代表の順で
自民党が266人と76人の合わせて342人
立憲民主党が207人と30人の合わせて237人
日本維新の会が163人と1人で合わせて164人
公明党が11人と39人の合わせて50人
共産党が213人と23人の合わせて236人
▽国民民主党が41人と1人の合わせて42人
▽れいわ新選組が19人と16人の合わせて35人
社民党が10人と7人の合わせて17人
▽参政党が85人と9人の合わせて94人
▽みんなでつくる党が小選挙区のみで6人
▽日本保守党が4人と26人の合わせて30人
安楽死制度を考える会が比例代表のみで2人
諸派と無所属が小選挙区で83人となっています。

今回の選挙は、与党が過半数議席を確保して連立政権を継続するのか、野党が勢力を伸ばして与党を過半数割れに追い込むのかが、最大の焦点となります。

289ある小選挙区のうち、与党側は大半の選挙区で候補者を擁立し、野党側は各党が、それぞれ党勢拡大を目指して擁立作業を進めてきました。

12日間の選挙期間中、政治とカネの問題を受けた政治改革のあり方や、物価高対策をはじめとする経済政策、厳しい国際情勢に対応するための外交・安全保障政策などをめぐり、激しい論戦が交わされる見通しです。

立候補の受け付けは
小選挙区は、各都道府県の選挙管理委員会
比例代表は、総務省にある中央選挙管理会
いずれも、15日午前8時半から行われます。

村上総務相 公示にあたり談話を発表

衆議院選挙の公示にあたって、村上総務大臣は「選挙は、国民が主権者として政治に参加する最も重要かつ基本的な機会だ。有権者の皆様には、積極的に投票に参加し、みずから考え、判断することによって、代表者としてふさわしいと考える方を選出されるよう期待する。候補者や選挙運動関係者には、選挙のルールを順守し、国民の信頼と期待に応えられるよう希望してやまない。今回の選挙は、小選挙区の区割り改定が行われて以降、初めての衆議院選挙で、選挙の管理執行にあたる方々は、厳正かつ公正を旨として選挙の管理執行にあたるとともに、小選挙区の区割り改定内容の周知や有権者の投票参加を促す啓発に取り組んでいただくようお願い申し上げる」という談話を発表しました。

【政治部 宮里拓也記者の解説】 衆議院選挙 与野党どう臨む?

Q.与党の勝敗ラインは過半数議席確保ということですが、自民党が収支報告書に不記載があった一部の前議員を公認しない対応をとる中で、見通しは?

A.そこはまだ見通せませんが、与党として目安となるのは、47という数字になります。まず、自民党の選挙前の議席ですが、非公認となった前議員などは含まれませんので、247になる見込みです。これに公明党の32を足すと、与党では279です。過半数は233ですので、47議席減らすと過半数割れになりますので、まさにここの攻防となります。ただ、石破さんは非公認とした人が当選すれば追加の公認もあり得るという考えを示しています。ある自民党幹部は「当選後の対応は、選挙が終わってからだ」と話していまして、議席の獲得状況も見ながら判断することになりそうです。

Q.野党側は候補者の一本化が焦点となっていましたが、調整は進んだのでしょうか?

A.ここまで大きな進展は見られませんでした。複数の野党候補が争うことになりそうな選挙区は全体のおよそ9割に上る見通しでして、立憲民主党の幹部の1人は「党として200人を超える候補を擁立する中で、ほかの野党も100人から200人規模の候補を擁立していて、調整は難しかった」と話しています。ただ、石破内閣発足から選挙の投票まで1か月足らずと「短期決戦」になりましたので、時間が足りなかったというのが正直なところだと思います。投票までまだ時間がありますし、選挙区ごとに事情も異なりますので、個別に戦略を練っていくことになる見通しです。

Q.今回の衆議院選挙、何が問われますか?

A.各党の公約やこれまでの街頭演説などを見ていますと、政治の信頼回復をどう図っていくかが焦点になると思います。政治とカネの問題が去年明らかになって以降の政府・与党の対応が問われますし、野党も政権を担い、政治を刷新できるのか、説得力が求められます。ですので、きょう以降も、政治資金規正法のさらなる改正の必要性や、政治資金のチェック方法などをめぐって活発な論戦が行われるものとみられます。

Q.それ以外では、どんなことが議論になりそうでしょうか?

A.やはり、1つは経済政策です。物価の上昇が続く中で、賃上げが十分に追いついているとは言えませんよね。ですので、家計などの負担軽減策や賃上げを持続させる方策をめぐって、具体策を競うことになると思います。
そして、外交・安全保障も焦点の1つです。きのうは、中国軍が台湾周辺の海域で大規模な軍事演習を行ったように、東アジアの安全保障環境は厳しくなる一方です。大統領選挙を控えるアメリカとの関係や防衛費のあり方をめぐっても意見が交わされる見通しです。

Q.投票率も気になりますね?

A.そうですね。2012年以降、前回までの4回はいずれも50%台でした。かつては70%台の時もあったことを考えると、ここ最近は高いとは言えないと思います。一方、期日前投票をする人は増えています。前回・3年前は、小選挙区比例代表ともに投票者全体の3分の1を上回る人が利用していまして、制度として浸透してきていると言えます。各党の主張や論戦にしっかりと耳を傾け、期日前投票も活用しながら、自分の1票をどう投じるか、考えてほしいと思います。

各党 声明など発表

衆議院選挙の公示にあたって、各党は声明などを発表しました。

自民党

「日本をどのように守り抜くか、次の時代に向けてどんな社会を創っていくか、国民に選択をいただく重要な選挙だ。政治の信頼なくして政策の推進はない。厳しい反省と危機感の上に立ち、ルールの順守を徹底し、信頼回復に全力で取り組む。今、求められているのは、確かな政策と実行力で政治を着実に前へと進めていくことだ。皆様の納得と共感のもと『この国に生まれてよかった』と思っていただける国づくりを全身全霊で進めていく」としています。

立憲民主党

自民党派閥の裏金事件を発端として、政治不信が極まっている中、石破総理は、能登半島を支援するための補正予算編成や、十分な国会での議論に応じることなく『裏金隠し解散』を強行した。本気の政治改革を実現するため全党一丸となって選挙戦に臨む。アベノミクスで広がった格差を是正し『分厚い中間層の復活』を実現する。自公を過半数割れに追い込み、第一党となって政権交代を果たす覚悟だ」としています。

日本維新の会

「政治と金の問題で地に落ちてしまった政治への信頼を回復するため、政治改革を真に実行する候補者を選択する選挙だ。既得権益としがらみを断ち切れない現政権に、古い政治を続けさせるわけにはいかない。与党を過半数割れに追い込むことにより、この国のかたちを根本から変える力を与えていただくよう訴えていく」としています。

公明党

「日本経済の再生、少子高齢化対策などを強力に進め、成果を上げている自民・公明両党の連立政権を選ぶのか、政権の枠組みを示せない野党に政治のかじ取りを委ねるのか選択が問われる。結党以来、政治腐敗と闘い実績を重ねてきた公明党が政権にいるからこそ、政治改革を前に進めることができる」としています。

共産党

自民党政治は『表紙』を替えても政治の中身は変わらないことが明らかになっている。国民の願いが通らないのは自民党の政治の根本に、財界・大企業の利益を優先し、日米軍事同盟を絶対視する『2つのゆがみ』があるからだ。共産党がのびてこそ日本の政治は変えられる」としています。

国民民主党

「国民のふところを豊かにする政治家を選ぶのか、自分のふところを豊かにしようとする政治家を選ぶのかが問われる選挙だ。裏金問題に決着をつけることを訴え、国民の『手取りを増やす』経済政策を掲げて戦う。真面目に働けば給料が上がる社会を取り戻そう」としています。

れいわ新選組

「『失われた30年』の原因は労働環境破壊と逆進性の強い消費税を不況下で何度も増税したことが大きい。失われた30年と人間の尊厳を取り戻す。消費税は廃止、社会保険料減免、現金給付が必要だ」としています。

社民党

「今回の選挙は『税金はくらしに!日本を立て直す選挙』であり、『自民党政治を終わりにする選挙』だ。この衆院選はまさに平和憲法9条を守れるのかどうかの天王山の闘いだ」としています。

参政党

「『日本をなめるな!』このスローガンのもと、参政党は日本の再興に挑む。守りだけでなく攻めの姿勢で本来自民党がやるべきだったことを、我々参政党が引き受ける」としています。

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