「会期も内容もわからない」万博、訪日客から低い認知度 誘客に課題、複雑な予約も難点(2024年10月12日『産経新聞』)

建設が進む万博会場=大阪市(本社ヘリから)

2025年大阪・関西万博は13日で開幕まで半年となる。会期中に2820万人という来場者目標を達成するためには、国内だけでなく海外からの誘客も重要な課題となる。ただ関西を訪れる訪日客は現状で万博の内容や会期をほぼ知らず、関心が高いとは言い難い。複雑な来場予約システムも誘客する上でのハードルになるとみられ、万博を運営する日本国際博覧会協会には丁寧な周知が求められる。

「このキャラクター(万博の公式キャラクター「ミャクミャク」)を大阪城近くの自動販売機で見たよ。マンホールにも描かれていたね」

多くの訪日客が行き交う大阪・心斎橋の商店街で、英国から夫婦で来たという50代の男性は、万博開催の事実を街中の広告で知ったと語った。


ただ内容については「分からない」とし、「会期なども、もっとしっかり知らせるべきだ」と指摘した。その他の訪日客も万博が開催されることを知る人はいたが、来場に強い関心を示す人はいなかった。

今回の万博は来場やパビリオン訪問に原則、事前予約が必要であることから訪日客にとってはハードルとなる。来場日の変更も回数制限があり、米国からの訪日客は「海外旅行は滞在期間が限られ、予定通り移動できるか分からない。このようなイベントに行くことは難しい」と話した。

協会は、外国人の来場者を約350万人と推定し、全体の2割未満にとどまるとみる。スイス人の訪日客は、イタリアで15年に開催されたミラノ万博を訪問したことがあるとしたが、「万博を見るために遠い日本に来たいとは思わない」と語った。外国人来場者は、観光などで日本に来たついでに万博を訪れるケースが多くなりそうだ。

主要来場者が日本人になることを見越し、会期中に日本企業との関係強化に動く国もある。ポーランドのエリザ・シバク政府副代表は9月、産経新聞の取材に「万博で日本市場をターゲットに施策を計画している」と述べ、会期中に両国間の大型経済フォーラムを計画していると明かした。

観光産業に詳しい近畿大の高橋一夫教授は「万博のような大型イベントは開幕後に内容が知られて来場を後押しすることが多い。現在の訪日客からの認知度の低さはあまり問題ではないだろう」とする。ただその上で「重要なのは海外メディアや旅行会社の招待など、開幕後も含めた訪日客へのプロモーションが十分に計画されているかだ。他の旅行先よりも万博が選ばれるために来場のサポートを含め、しっかりと準備する必要がある」と指摘した。(黒川信雄)

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