「核なき世界」を叫び続けた被爆者らの活動を世界がたたえた。被爆者団体の全国組織「日本原水爆被害者団体協議会(被団協)」にノーベル平和賞が贈られることが発表された11日、79年前に壮絶な体験をした長崎や広島の被爆者たちは平和への思いを新たにした。一方、「被爆者なき時代」は確実に近づいており、次の世代に核兵器廃絶運動を託したいとの願いも聞かれた。
米国でのキャラバンの目的や核兵器廃絶への思いを語る朝長さん
1985年に受賞した「核戦争防止国際医師会議」(IPPNW)のメンバーで、長崎県被爆者手帳友の会会長を務める被爆医師の朝長万左男さん(81)(長崎市)は長崎市内の事務所で、スタッフら4人とインターネット中継を見守った。
被団協は過去にも平和賞の候補に挙げられていたが、朝長さんには「今年は受賞するのではないか」という予感があったという。ウクライナ侵略を続けるロシアが核の威嚇を強めたことで、被爆者の声の重要性が増していると感じていたからだ。
中継を見守っていた朝長さんは「やっと受賞できた。最後の被爆地として長崎の訴えは、ますます重要になるだろう」と力を込めた。
被団協とともに活動を続け、2017年にノーベル平和賞を受賞した「核兵器廃絶国際キャンペーン(ICAN)」の国際運営委員、川崎哲さん(55)は11日、自身のブログで「日本においても戦争体験や被爆体験が風化している現実がある。日本が核兵器廃絶に向けて世界を主導する役割を担わなければならないことを思い起こす好機だ」とコメントした。
長崎市長「次代継承を」