「集金力」断トツは林官房長官 石破内閣全閣僚の「おサイフ」を見える化 半数がパーティー依存度30%超

発足からわずか8日の今月9日に、衆院解散に踏み切る意向を示した石破茂首相(67)=衆院鳥取1区。新内閣を評価する材料が乏しいまま、有権者は超短期決戦の衆院選で判断を迫られる。最大の争点は自民党派閥の政治資金パーティーを巡る裏金事件に端を発した政治とカネの問題だが、半数以上が初入閣となった閣僚はどのようにカネを集めているのか。「集金力」を分析した。(西川正志、小川慎一)

 各閣僚が代表を務める政党支部資金管理団体政治団体政治資金収支報告書のうち、総務省都道府県の選挙管理委員会が公表している2020~22年の3年分を集計した。

◆総額、パーティー献金…いずれもトップ

 パーティー収入と個人、企業・団体、政治団体の寄付の合計が最も多かったのは、林芳正官房長官(63)=衆院山口3区=で3億5138万円。パーティー収入は全閣僚で最多の2億1252万円で、団体間の資金移動や本人の寄付を除いた総収入に占める割合(依存度)は51.8%だった。個人、企業・団体の寄付もそれぞれ5000万円を超え、閣僚内で断トツの集金力だった。
 続いたのは、初入閣の伊東良孝地方創生担当相(75)=衆院北海道7区=で、2億4645万円。パーティーへの依存度は26%と低かったが、地元北海道の企業を中心とした寄付1億1092万円が収入を押し上げた。企業・団体献金が1億円を超えたのは全閣僚で、伊東氏だけだった。
 阿部俊子文部科学相(65)=衆院比例中国=も寄付が大きな収入の柱で、支援を受ける日本看護連盟などから多額の寄付を受けていた。

◆三原こども政策担当相は「パーティー収入」56.5%で依存度トップ

 資金面でのパーティーへの依存度で見ると、56.5%(6637万円)の三原じゅん子こども政策担当相(60)=参院神奈川選挙区=がトップ。2番目が林氏で、その次が総裁選にも出馬した加藤勝信財務相(68)=衆院岡山5区=で50.1%(1億4812万円)だった。全閣僚の半数の10人の依存度が30%を超えるなど、政治不信を招いたパーティーが大きな資金源となっていた。
左から三原じゅん子こども政策担当相、加藤勝信財務相

左から三原じゅん子こども政策担当相、加藤勝信財務相

◆浅尾環境相、福岡厚労相、赤沢経済再生相は関係団体で開催

 浅尾慶一郎環境相(60)=参院神奈川選挙区=、福岡資麿(たかまろ)厚生労働相(51)=参院佐賀選挙区=、赤沢亮正経済再生担当相(63)=衆院鳥取2区=は、今回集計した政治団体でパーティーを開いていなかったが、自身が関係する別の政治団体が開催していた。浅尾氏関係団体は3435万円、福岡氏関係団体は5998万円、赤沢氏関係団体は5185万円のパーティー収入があった。
 中谷元防衛相(66)=衆院高知1区=はパーティーを開催していなかった。

 政治資金パーティー 政治家や政治団体が活動資金を得るために開くイベント。政治資金規正法は収入から経費を差し引いた残額を政治活動に充てることを認めており、「利益率」が9割を超える例も多い。1回で20万円を超す支払いを同一の個人や法人などから受けた場合、政治資金収支報告書に支払った側の名前や住所が記載される。