小泉進次郎氏が総裁選で失速した理由、政策打ち出しの初動ミス挽回できず、地方票に泣く(2024年9月27日『産経新聞』) 

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自民党総裁選後、報道陣の取材に応じる小泉進次郎環境相=27日午後、党本部(鴨志田拓海撮影)
「議員票1位、党員票3位、胸を張って堂々と(陣営の選対事務所に)戻ってこられた。皆さんが使ってくれた時間を、何倍にもお返しできるように頑張っていきたい」
小泉進次郎環境相(43)は27日、自民党総裁選終了後に支援を受けた議員たちを前にこう述べた。
「ポスト岸田」の大本命として国会議員票では首位となる75票を集めたが、党員票で石破茂元幹事長と高市早苗経済安全保障担当相に想定以上の大差をつけられた。
小泉純一郎元首相を父に持ち、巧みな弁舌を併せ持つ小泉氏は当初、抜群の知名度で党員票でも優位に立つとみられていた。
しかし、報道各社の調査によると、他の総裁選候補と臨んだ討論会を重ねるごとに失速の傾向が強まっていった。選挙戦中盤に地方創生などに関する追加公約を発表したが、勢いは取り戻せなかった。
小泉氏を支援した若手議員は解雇規制の見直しなどを念頭に「政策の打ち出し方を誤らなければ勝っていた」と悔やむ。
特に、これまでの家族観を変える選択的夫婦別姓制度の早期導入は、保守層の警戒を招いたとの見方が根強い。
14日に名古屋市で行われた初の合同街頭演説会で夫婦別姓に触れた際も聴衆の反応は鈍かった。総裁選の途中から急遽、「愛国心」に言及し始めたが、後の祭りだった。
島根県連幹部は「党員は一般有権者よりも年齢層が比較的高い。小泉氏の主張が『わがこと』として響かなかったのではないか」と解説する。
史上最年少首相の誕生は党員の厚い壁に阻まれた。小泉氏は記者団に「この糧を次の一つ一つに生かしていきたい」と意気込んだ。(竹之内秀介)

小泉進次郎氏の地元・神奈川では落胆と期待「次につながる堂々の3位」(2024年9月27日『産経新聞』)
 
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落選し、報道陣の取材に応じる小泉進次郎環境相=27日午後、党本部(鴨志田拓海撮影)
 
27日に投開票された自民党総裁選に地元の小泉進次郎環境相河野太郎デジタル相が立候補して注目度が高まっていた神奈川県では、新総裁への選出がかなわず支持者らにため息が広がった。とりわけ小泉氏は有力候補の1人とされてきただけに関係者の落胆も大きかったが、「次につながる堂々の3位」などと今後に期待する声も上がった。
「もっと支持が得られると思ったが、広がりを欠いた」。小泉氏支持を表明し、積極的に支援してきた自民横浜市連の佐藤茂市連会長は全国の党員・党友による投票をベースにした党員票が61票だったことに落胆をにじませた。
10日に小泉氏が市役所を訪れ、自民市議団に支援を要請した。佐藤氏によると、市連所属の国会議員、地方議員のうち、60人強は小泉氏支援を決め、佐藤氏を会長とする有志の会を立ち上げて応援活動を展開。地元の党員に電話をかけ続けた。
「最後の最後まで一生懸命やります」。世論調査などで支持が伸び悩む状況が伝えられる中、佐藤氏は小泉氏から電話でこう告げられたという。
佐藤氏は「次につながる堂々の3位。進次郎さんはまだ若い。自信を持って次に向けて精進してほしいし、一生懸命支援したい」と語り、新総裁に選出された石破茂氏には「答弁もしっかりしていて、安定感がある。ぜひ自民党の党風を刷新していただきたい」と期待した。
自民県連の梅沢裕之幹事長は「県内から2人の総裁候補が出たことは大変誇らしいことだったが、結果として、勝つことができなかった。2人にとって、新たな出発だと思う」と語った。
今後の衆院選を見据えて「新総裁のもと、衆院選にしっかり勝って、参院選につなげていきたい」と述べ、石破氏には「地方を大事にされる方なので、頻繁に来ていただくなどして、われわれの声を吸い上げて政治に反映してほしい」と注文した。(高久清史、高木克聡)