立民代表選 野田佳彦元首相 新代表に選出(2024年9月23日『NHKニュース』)

立憲民主党の代表選挙は、1回目の投票で4人の候補者がいずれも過半数のポイントを獲得できず、上位2人による決選投票が行われた結果、野田元総理大臣が枝野前代表を抑えて新代表に選出されました。

立憲民主党の代表選挙には、野田元総理大臣、枝野前代表、泉代表、吉田晴美氏の4人が立候補して国会議員と国政選挙の公認候補予定者、地方議員、それに党員・サポーターに割り当てられたあわせて740ポイントを争い、今月7日から選挙戦が展開されました。

23日は午後1時から東京・港区のホテルで臨時党大会が開かれ、22日までに締め切られた地方議員と党員・サポーターによるいわゆる「地方票」の結果が発表されたのに続き、国会議員と公認候補予定者の投票と開票が行われました。

その結果、野田氏が国会議員で90ポイント、公認候補予定者で38ポイント地方議員で58ポイント、党員・サポーターで81ポイントの合計267ポイント。

枝野氏が国会議員で66ポイント、公認候補予定者で17ポイント地方議員で71ポイント、党員・サポーターで52ポイントの合計206ポイント。

泉氏が国会議員で58ポイント、公認候補予定者で26ポイント地方議員で33ポイント、党員・サポーターで26ポイントの合計143ポイント。

吉田氏が国会議員で56ポイント、公認候補予定者で17ポイント地方議員で23ポイント、党員・サポーターで26ポイントの合計122ポイントをそれぞれ獲得しました。

1回目の投票で4人の候補者のいずれも過半数を獲得できなかったため1位の野田氏と2位の枝野氏の上位2人による決選投票が行われました。

決選投票は、国会議員に1人2ポイント、公認候補予定者と各都道府県連の代表者に1人1ポイントずつの合計417ポイントで争われました。

決選投票の結果

 

その結果、
▽野田氏
国会議員 144ポイント
公認候補予定者 60ポイント
都道府県連の代表者28ポイント
あわせて232ポイント

▽枝野氏
国会議員 126ポイント
公認候補予定者 35ポイント
都道府県連の代表者 19ポイント
あわせて180ポイント

野田氏が枝野氏を抑えて新代表に選出されました。

「地方票」の開票結果の内訳

▽野田元総理大臣
地方議員 58ポイント
党員・サポーター 81ポイント
あわせて139ポイント

▽枝野前代表
地方議員 71ポイント
党員・サポーター 52ポイント
あわせて123ポイント

▽泉代表
地方議員 33ポイント
党員・サポーター 26ポイント
あわせて59ポイント

▽吉田晴美氏
地方議員 23ポイント
党員・サポーター 26ポイント
あわせて49ポイント

決選投票前の演説は

野田元総理大臣は「教育無償化のみならず、医療・介護・障害者福祉などのベーシックサービスを所得制限なくすべて国が供給していく体制を作り、『弱い人を助けるための政治』はもう終わりにし『弱い人が生まれない社会』をつくる。そして何よりも大事なのは、国民の政治に対する信頼だ。金権政治を終わらせ、世襲政治を制限する。政権交代こそが最大の政治改革であり、その先頭に立つことを誓う」と訴えました。

枝野前代表は「私たちは今、歴史の分かれ道にいる。表紙を変えるだけで奪われた30年を延命させるのか、裏金問題にふたをして政治不信をさらに募らせ民主主義そのものの基盤を失っていくのか。そんなあしたを絶対に許してはならない。人間を使い捨てにする社会に終止符を打ち『人間中心の経済』を打ち立てたい。立憲民主党が誰よりもまっすぐに国民の声とつながり、政治の転換を本格的に実現しよう」と訴えました。

1回目の投票前の演説は

野田元総理大臣は「朝顔は、早朝にかれんな花を咲かせるが、日が当たる前の夜の闇と、夜の冷たさこそが一番大事だ。立憲民主党は、強い自民党公明党と戦って、勝ち続けている人はほとんどいない。われわれは、夜の闇と夜の冷たさを知っているから、ほのかな明かりとぬくもりがありがたいと思っている。勝ちっぱなしの自民党にはわからないことを、政策体系で作ってきた。格差を是正し、分厚い中間層を復活するために政権交代を実現しよう」と訴えました。

枝野前代表は「政治不信はひと事ではなく私たちにも大きな責任があり、永田町の内側を向いた合従連衡ではなく国民ひとりひとりとつながることで政治を変える力が生み出される。大都市から農山、漁村に至るまで暮らしの声に寄り添った私たちのビジョンと政策を自信を持って力強く訴えよう。政権を担える国民政党立憲民主党をさらに前進させて暮らしと経済の危機を乗り越え、国民に寄り添いながら時代の先頭に立って前へと進んでいく」と訴えました。

泉代表は「私は今回『日本を伸ばす』という政策を掲げていて、農業、観光業、地域の再生可能エネルギーを大切にして地域経済を盛り立てていく。私たち立憲民主党が前向きな政策を持っているということを皆さんに伝えたい。私は厳しい3年間、党を再生させてきたが、まだまだここからだ。党を割らず、仲間を大切にし、責任を持ってこの党を率いると誓う。ぜひ一緒になって立憲民主党の旗を掲げ続け、政権を担っていこう」と訴えました。

吉田晴美氏は「今回私が訴えたのは教育、経済、そして国民生活の底上げだ。『年金だけでは苦しい』『収入が増えない』という国民の声に寄り添おう。国民が求めるのは物価高対策としての食料品の消費税ゼロ税率だ。衆議院の解散・総選挙が目前に迫っていて自民党との明確な対比軸を示そう。大企業や富裕層を優遇する自民党に対し、私たちは中小企業、生活者、そして働く人の政策をはっきりと掲げて戦う。一緒に元気な日本をつくっていこう」と訴えました。

臨時党大会までの動き

野田元首相「勝つためにベストを尽くす」

 

野田元総理大臣は記者団に対し「勝ち抜くためにベストを尽くす」と述べました。その上で「このあとどのような演説で支持を訴えるのか」という質問に対し「わかりません。プレッシャーを与えないでください」と述べました。

野田氏の陣営は、23日午後、東京都内のホテルで決起集会を開き、国会議員や国政選挙の公認候補予定者、それに地方議員などおよそ60人が出席しました。

この中で野田氏は「皆さんの懸命の支えがあったからこそ戦い続けることができたが、勝たなければ意味がない。自民党に勝ち抜くために、私は立ち上がった。気合いを込めて演説をするので支援をお願いしたい」と述べました。

枝野前代表「私なりの思いを伝えたい」

 

枝野前代表は記者団に対し「立候補するかどうか正直迷いもあったが、本当にいい戦いができた。残された演説では、投票先を迷っている1人でも多くの人に投票してもらえるよう私たちの党が今、何をしなければならないのか、私なりの思いを伝えたい」と述べました。

枝野氏の陣営は、23日午後、東京都内のホテルで決起集会を開き、国会議員や地方議員などおよそ30人が出席しました。

この中で枝野氏は「この代表選挙は、日本の政治を変え、まっとうな政治で民主主義を取り戻すスタートだ。今、困っていて不安の中にある国民生活を守るため、一緒に戦ってくれた皆さんの思いをしっかりと受け止めながらこのあとの臨時党大会に臨み、最後の最後まで頑張りたい」と述べました。

泉代表「次の政権を担う立憲民主党の姿を見せられた」

 

泉代表は記者団に対し「選挙戦を通じて次の政権を担う立憲民主党の姿を見せられたのではないか。私は特に地方の皆さんと歩んできたので国政選挙の公認候補予定者や都道府県連からの票に期待したい。最後の演説は全力で訴えたい」と述べました。

泉氏の陣営は、23日午前、東京都内のホテルで決起集会を開き、国会議員や国政選挙の公認候補予定者、それに地方議員などおよそ40人が出席しました。

この中で泉氏は「立憲民主党はもっともっとよくなるし、よくなって政権を担わなければならない。私が進めてきた路線を信じてくれた皆さんに必ず勝利を届け、皆さんの力を最大限に引き出す党運営をして政権を確保したい。最後の最後まで一緒に頑張っていこう、必ず勝ちます」と述べました。

吉田氏「若い世代や女性 応援の声 高まり感じる」

 

吉田晴美氏は記者団に対し「無名からのスタートだったが、若い世代や女性を中心に応援の声が高まっていることを感じる。きょうの演説では、自民党との対比軸を明確に打ち出し、徹底的に『生活者目線』で政治を語っていきたい」と述べました。

吉田氏の陣営は、23日午前、東京都内のホテルで決起集会を開き、国会議員や地方議員などおよそ30人が出席しました。

この中で吉田氏は「代表選挙では普通の感覚で訴えることで政治の常識や永田町の常識にとらわれない新しい時代の政治文化をつくっていきたいという思いで戦ってきた。どのような結果が出るかわからないが、このあとの演説でも国民の声を訴えたい」と述べました。

地方議員と党員・サポーターによる郵便投票の開票

 

午後の臨時党大会での国会議員などの投票に先立ち、地方議員と党員・サポーターによる郵便投票の開票作業が行われました。

「地方票」の投票は、22日までに郵便とインターネットで行われ、このうち郵便投票の開票作業が、23日午前7時半から臨時党大会の会場のホテルで始まりました。

会場では、およそ100人のスタッフが、開始の合図とともに段ボール箱開封して投票用のはがきを取り出し、候補者の名前を確認して仕分ける作業を進めていました。