石破茂氏、安保で独自色 安保基本法・アジア版NATO…地位協定改定も 自民総裁選(2024年9月10日『産経新聞』)

 
自民党総裁選の政策発表会見を行う石破茂元幹事長=10日午後、国会内(桐原正道撮影)

自民党総裁選(12日告示、27日投開票)に立候補する石破茂元幹事長(67)は10日、国会内で公約に関する記者会見を開いた。集団的自衛権シビリアンコントロール文民統制)などを明文化した「安全保障基本法」の制定を主張。憲法9条への自衛隊明記や緊急事態条項の新設を念頭に「党で決めた路線を維持していく」とし、総裁任期中の改憲実現に意欲を示した。ライフワークの安全保障分野で独自色を打ち出した。

石破氏は5度目の立候補を決断した理由として、ロシアによるウクライナ侵攻など安全保障環境の激変を挙げ、台湾有事を念頭に安全保障体制の抜本的見直しを訴えた。「長らく安全保障に関わってきた私が果たすべき責任だ。重ねてきた経験を今こそ生かさねばならない」と語った。

その上で、アジアにおける集団安全保障体制の構築に向け、持論とする「アジア版NATO」の創設に向けた外交努力を積み重ねるとした。

日米安全保障条約について「(相互に)果たすべき義務が異なる、世界でたった一つの同盟だ」と指摘。「(日米)同盟の対等性は常に希求されるべきもの」と述べ、在日米軍の地位を定めた日米地位協定の改定を目指す考えを示した。

エネルギー政策を巡っては「今のエネルギー自給率は太平洋戦争に突入したときよりも低い」と指摘。再生可能エネルギーについて「可能性を最大限に引き出す取り組みは今すぐに着手していかなければならない」と強調した。次世代型原発「小型モジュール炉(SMR)」の活用も検討する必要があるとした。

当選1期目にリクルート事件を経験し、一連の平成の政治改革に携わった経験から、派閥パーティー収入不記載事件を受けた政治改革の重要性も強調した。過去にも党内で議論された「政党法」を制定し、政党内のガバナンスを規定する必要性を訴えた。

また、中選挙区制度の復活論にも言及し「国民の立場に立った選挙制度とは何なのだということに結論を出したい」と語った。

小泉進次郎環境相が唱えた労働者の解雇規制の緩和については、慎重な議論が必要だとの考えを示した。「いかにして労働者の権利が守られるか。また経営者がいかにして有能な人材を確保するかという両立の観点から議論されるべきだ」述べた。

選択的夫婦別姓制度については「個人的に積極的な姿勢を持っている」としつつ、「党内でいろいろな議論がある。(実現を)いついつまでにと断ずることはしない」と述べ、党内議論を優先する考えを示した。