【自民党総裁選】勝ち馬に乗りたい岸田・森・麻生・菅…旧派閥の長老たちの“呆れた思惑”(2024年8月24日『FRIDAY』)

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出馬表明の直後から旧統一教会との関係が取りざたされるなど、早くも洗礼を浴びている

自民党は『刷新』という大層なテーマを掲げているが、一皮むけば所詮は”老害”たちの権力争いに他ならない」

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9月27日の投開票を前に、政治学者の天川由記子氏は自民党総裁選を″旧派閥の長たちの代理戦争″だと切り捨てた。異例の11人(8月21日現在)の名前が候補者として挙がるなど、たしかに今回の総裁選は″タガの外れた権力闘争″の様相を呈している。

いち早く出馬を正式表明したのは、小林鷹之元経済安全保障担当相(49)。8月19日に行った出馬会見では「顔見せではない。勝ち抜く覚悟で臨んでいる」と力強く宣言した。

「会見に同席した福田達夫氏(57)も『脱派閥』を口にしていた。『新しさ』を前面に押し出して差別化を図る戦術。アピールに余念がない」(全国紙政治部記者)

老獪な総裁選経験者たちも、続々と名乗りを上げている。

「5度目の挑戦となる石破茂氏(67)は孤高の人。議員同士で会食し、頭を下げて支持を求めることを苦手としてきた。ところが、今回は旧安倍派の衛藤征士郎氏(83)と7月に会食し、8月の台湾訪問後に総裁選での支援を求めて頭を下げ、推薦人の確保につなげた」(前出・天川氏)

3度目の挑戦となる河野太郎デジタル相(61)も意欲を燃やす。

「持ち味の”壊し屋”スタイルをどこまで貫けるか。こだわっていた脱原発政策をどう政権公約に入れられるかです。派閥トップの麻生太郎氏(83)に気を遣いすぎては、”らしさ”を失ってしまう」(ジャーナリストの鈴木哲夫氏)

ゾロゾロ出てきた候補者たちの背後にうっすら見えるのは、キングメーカーを目指す権力者たちの「いかに勝ち馬に乗るか」という野心と保身だ。

岸田文雄首相(67)は総裁選で辛勝できても、その後の参院選衆院選で大敗となれば、権力を完全に失いかねない。自身の政治的な影響力を残すため、総裁選からは撤退した。旧岸田派の46名は未だ結束も強い。新総裁に恩を売って、新たなキングメーカーとして振る舞う算段だ」(別の政治部記者)

◆「刷新」ではなく「再編」

唯一派閥を存続させた麻生氏は、態度を決めかねている。前出の鈴木氏の見立てはこうだ。

「麻生氏は何枚かの総裁候補カードをギリギリまで持ち、土壇場で岸田氏支持という算段もあったのだろうが、不出馬でそれを失った。9月まで態度は明らかにしないというが、本命を選べていないというのが本音のはずだ。

現時点では河野氏の支援に回る可能性があるが、その狙いは二つ。ひとつは麻生派河野氏を出して勝てば影響力を得られること。もうひとつは、河野氏キングメーカーとしてのライバルである菅義偉前総理(75)に近いこと。菅氏から河野氏を引き離し、菅氏の力を削ぐ狙いもあるのではないか」

″小石河連合″を手札に存在感を保っていた菅氏は、小泉進次郎環境相(43)支持の意思を固めたようだ。

「ただ、これまで反主流派として動いていたことで、菅氏に近い議員は″傍流″の印象が強い。選挙に強くない議員の駆け込み寺的な面もあり、『選挙の顔』として進次郎を利用したいだけ」(自民党ベテラン秘書)

40代のフレッシュな候補として小林氏と並んで注目を浴びる小泉氏だが、足を引っ張られかねない要素もある。パーティー収入を原資とした裏金問題で猛批判を浴びた森喜朗元首相(87)が、後見人気取りでいるからだ。

世話人を自称していた旧安倍派が解散し、拠り所がない中で存在をアピールするにはここしかないと踏んでいる。新しさで勝負したい小泉氏にとって、老害の支援はありがた迷惑でしかない」(前出・天川氏)

混沌とする総裁選の持つ意味を、前出の鈴木氏がなんとか見出す。

「小林氏を担ぐ若手の中には、長老たちの勧誘を避けるために彼に乗った議員もいる。岸田首相は党内の派閥こそ解消しましたが、『数の力』は依然として残っている。総裁選後には『小林グループ』が結成されるのではないか。今我々が見せられているのは、古い政治からの脱却ではなく、自民党の派閥再編です」

一様に考えていることは「いかに権力の近くにいられるか」。これでは本当の「刷新」などできるはずもない。

『FRIDAY』2024年9月6・13日合併号より

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