「もう3年総理を務めましたからね…」岸田首相退陣の裏で最側近「木原誠二」元官房副長官が漏らしていた心中(2024年8月21日『デイリー新潮』)

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 岸田首相が9月の総裁選に出馬しない意思を表明し、「ポスト岸田」レースに号砲が鳴らされた。“キングメーカー麻生太郎副総裁の支持を取り付けられなかったことが決定打になったという見方が大半だが、実は“身内”からも匙は投げられつつあったようだ。
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【写真を見る】“愛人”“隠し子”と囁かれる母娘とともに七五三の記念写真を撮る木原氏
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 14日、岸田文雄首相が自民党総裁選挙に出馬しないことを表明した。緊急で開かれた会見では、
「私が身を引くことでけじめをつける」
「組織の長として責任をとることに、いささかのちゅうちょもない」
 と発言。9月の総裁選を間近に控えながらも、政権支持率は一向に浮上する気配のないままで、遅くとも来秋までには迎えなければならない次期衆院選も見据えると、ここで身を引かざるを得なかったというわけだ。
「仮に総裁選で自身が勝ったとしても、その次に控える衆院選で党として勝てるか、厳しいところがあった。とはいえ身を引くにしても、“追い込まれての退陣”という印象を与えないよう、先手を打ちたい思いがある中、外交が一区切りしたこのタイミングになったのでしょう。出馬を断念する可能性は指摘されていたとはいえ、この決断自体は一部の側近にしか知らされていませんでしたから、永田町では驚きをもって受け止められていました」(全国紙記者)
麻生氏の支持を得られず
 もっとも、これだけ政権が厳しい状況下でも岸田首相が再選の道を模索していたのは事実だ。6月下旬の国会閉会時に行われた会見では「道半ばの課題がある」と発言。7月には地方の党員票を固めるべく全国行脚を開始するなど、続投への意欲をにじませていた。
 こうした中で総裁選出馬を断念することになった“決定打”として報じられているのが、首相の後見役にして党内の“キングメーカー”と称される麻生太郎副総裁の支持を取り付けられなかったことだ。
 3年前の総裁選で麻生氏の支持を取り付けた首相は、河野太郎行政改革担当相(当時)ら3氏を破り勝利。今回も同様の支持を得るべく、この6月に麻生氏と2度会食し、その後も7月、8月と面会を重ねたが、出された結論は「ノー」に近いものだった。そもそも麻生氏は、派閥の解散をはじめ、裏金問題に端を発する岸田首相の政権運営に不満を抱いていた。その上支持率の巻き返しも期待できない状況とあれば、現トップを見限るのも致し方なしというわけだ。
「本当にやる気があるのか」
 一方、岸田氏の首相就任以来の最側近として知られる木原誠二官房副長官の腰も重かった。
 
 木原氏といえば、3年前に愛人や隠し子の疑惑を週刊新潮に報じられた上、昨年には自身の妻が関わる事件の再捜査に対して、木原氏が警察当局に政治介入をしたという疑惑が週刊文春に報じられ世間を大きく賑わせた。その後官房副長官職は辞したものの、現在も党の要職に身を置き、首相が最も信頼を置くブレーンとして政権を支えてきた。
 木原氏はこの夏、次期総裁について「岸田首相がふさわしい」と発言しており、表向きには変わらぬ“忠誠”を示していたはずだった。
 しかし、
「実は『木原さんは本当にやる気があるのか』と訝しむ声が、永田町には広まっていたんです」
 とは、さる自民党関係者。
「自身の不祥事報道が相次いだ上、裏金問題が後を引き支持率は低迷するばかり。最近ではすっかり政権運営に対するモチベーションが下がっていたようで、周辺には『もう3年総理を務めましたからね……』と漏らしていたほどです。最近になり、木原さんは岸田政権の経済対策が成功しているという発信を強めていましたが、実際は木原さんの熱量が低いのではないかと一部では見られていたんです」
 文字通り満身創痍の退陣劇だった――。
デイリー新潮編集部