女優の奈緒(29)が「本格的なブレイクを迎えている」と業界関係者の間で話題になっている。主演映画「先生の白い嘘」をめぐるインティマシーコーディネーター騒動では、彼女の「女優としての覚悟」が逆に浮き彫りになるなど評価が急上昇。そんな存在感を増す“旬の女優”の意外な素顔とは。
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9月27日に公開される映画「傲慢と善良」ではKis-My-Ft2の藤ヶ谷太輔とW主演を務め、さらにTBSドラマ初主演となる「あのクズを殴ってやりたいんだ」が10月にスタート。ここに来て目覚ましい活躍を見せる奈緒だが、
「『先生の白い嘘』で魅せたシリアスな演技から一転、TBSドラマではプロボクサーを目指すアラサー女子を演じ、ラブコメディに挑戦しています。もともと演技力に定評はありましたが、インティマシーコーディネーター騒動以降、改めて彼女の演技に対する真摯な姿勢にリスペクトの声が上がっています」(民放キー局関係者)
福岡県出身の奈緒は15歳の時、高校の入学式に向かう通学路の途上でスカウトされ、福岡のモデル事務所に所属。当初は地元を中心にモデルやリポーターとして活動していたという。
「ローカル番組で食レポなどをやっていたそうですが、奈緒さん自身は『福岡で一番下手なリポーターだった』と振り返っています。ちなみに彼女は中学時代に美術部、高校時代はハンドボール部のマネージャーをやっていた時期があったそうですが、本人いわく“学生時代は目立つ存在ではなかった”といいます」(同)
師匠は「野島伸司」
事務所に所属して1年ほど経った頃、奈緒に転機が訪れる。
「ワークショップに参加したことで、芝居の魅力に取りつかれたそうです。当時の気持ちを“こんなにもやりたいと思えることは初めてだと感じた。手放しちゃいけない”と思ったと、かつて取材で明かしています。本格的に演技の世界に挑戦するため、彼女が福岡から東京へ拠点を移したのが20歳の時でした」(映画ライター)
上京すると、奈緒は脚本家・野島伸司氏が総合監修を務めるアクターズスクール「ポーラスター東京アカデミー」に入所。同アカデミーの掲げる「本物俳優主義」というポリシーに惹かれたのがオーディションを受けた理由という。
「当時はお金もあまりなかったそうで、常連として通ったのが中華チェーンの『日高屋』だったとか。“安くて美味しい”のがハマった理由で、『日高屋はユートピア』とインタビューで答えたこともあります(笑)。他にも“週8で食べた”過去もあるほどのカレー好きとして知られ、そのカレーをツマミにして飲む時もある“酒豪”としても有名。好きなお酒と長く付き合うために“漢方やヨーグルトを摂って健康に気をつけている”と真顔で話すなど、チャーミングな女性です」(同)
「私が知らない自分」
上京して3年後にNHK連続テレビ小説「半分、青い。」でヒロイン(永野芽郁)の親友役として出演し、一躍、業界の注目を集めた奈緒。翌19年に初主演映画「ハルカの陶」が公開され、以降は映画にドラマ、舞台、CMなど活躍の場を広げていく。
「福岡出身の女優といえば、吉田羊や蒼井優、池田エライザなど錚々たる顔ぶれが思い浮かびますが、奈緒さんもその系譜の本流に位置する一人。彼女は昔、名画座で映画『大阪物語』を見て以来、“田中裕子さんが憧れの女優”と公言してきた。演じるということについても“自分の知らない部分を知りたいから、お芝居をしている感覚”と話すなど、テクニック論でなく、内省的に語る一面を持っています」(前出・キー局関係者)
昨年、「徹子の部屋」(テレビ朝日系)に出た奈緒は、生後7か月の時に実父を亡くしたことを告白。自身のキャリアのターニングポイントとなったNHKの朝ドラ出演は、多忙で叶わなかった父の墓参りをようやく果たせた直後のタイミングで決まったという。父への想いだけでなく、
「お母さんが悲しむことは絶対しない」
とも決めているという奈緒。10年後、20年後に魅せる演技が楽しみな女優の一人である。
デイリー新潮編集部