斎藤元彦・兵庫県知事に関するパワハラ疑惑を告発した文書をめぐる問題で、文書を作成した元県民局長(2024年7月死去)を懲戒処分とした件で、兵庫県議会の調査特別委員会「百条委員会」が、「公益通報の保護対象としない」と決めた県の対応について、今後本格的に議論することがわかった。
9日に開かれた百条委理事会後、奥谷謙一委員長が報道陣の取材に対して明かした。
理事会では、「県の公益通報制度の運用が適切だったのか調査をするべきだ」という意見が多かったという。証人尋問には斎藤知事や、辞職した片山安孝前副知事らにも出頭を要請する。
告発文書に対する(県の)初期対応への疑問や、報道機関に向けて発信した時点で公益通報だったのではないかとの意見も多い。手続きがどう進んだのか、専門家にも意見を聞く見込み。
奥谷委員長は「この点をしっかり調査するのが、再発防止や県政の健全化につながる」と述べた。
このほか、職員約9700人に向けたアンケートが、8月5日までに約半数の4568件の回答があったという。
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兵庫県の斎藤元彦知事がパワハラなどの疑惑を内部告発された問題で、県議会の百条委員会は9日、前県西播磨県民局長の男性職員(7月に死亡)の告発を公益通報として扱わなかった県の対応について、検証する方針を固めた。百条委は当初、告発された斎藤知事に関する7項目の疑惑を検証対象としていた。関係者によると、この日、非公表で開かれた理事会で、公益通報を巡る県の対応を疑問視する声が続出。検証対象に追加することでまとまったという。9月上旬にも公益通報の専門家を参考人として招致する方針。問題を巡っては、男性職員が3月中旬、7項目の疑惑を指摘する告発文書を報道機関などに送付。4月4日には、県の公益通報制度を利用して内部通報した。しかし、県の人事当局は5月7日、文書を「核心的な部分が事実ではない」とする内部調査の結果を公表。男性職員を停職3か月の懲戒処分とした。斎藤知事は今月7日の記者会見で、文書の存在を把握した3月下旬時点で公益通報との認識はなかったとし、「文書に信用性がなく、対応に問題はなかった」と説明した。公益通報者保護法は、通報内容に「事実と信じるに足りる相当の理由」などがある場合、通報者を保護するよう定め、報道機関などへの「外部通報」も対象としている。