ハリス氏の元交際相手を別人と混同か トランプ氏が手痛いミス(2024年8月10日『毎日新聞』)

キャプチャ
記者会見に臨む米共和党のトランプ前大統領=米南部フロリダ州で8月8日、AP
 
 11月の米大統領選で返り咲きを目指す共和党ドナルド・トランプ前大統領(78)が8日の記者会見で、民主党のカマラ・ハリス副大統領(59)の元交際相手である政治家を別人と混同していた疑惑が浮上した。
 高齢による認知の衰えが不安視された民主党ジョー・バイデン大統領(81)が7月に出馬を断念した後、トランプ氏に高齢不安の矛先が向けられる状況下で手痛いミスとなった。
 トランプ氏は会見で、ハリス氏が若い頃に交際していた西部カリフォルニア州サンフランシスコのウィリー・ブラウン元市長(90)によって政界で引き立てられたことについて問われ、次のように答えた。
 「ウィリー・ブラウン氏のことは非常によく知っている。ヘリコプターにも一緒に乗ったが、ヘリが緊急着陸する状況になった。彼はカマラに対して大きな役割を果たしたが、私には彼女に関するひどいことを言っていた」
 ところが、発言後、当のブラウン氏が米メディアに「トランプ氏と一緒にヘリに乗ったことはない。トランプ氏との会話の中で、ハリス氏のことをけなしたこともない」と内容を全面否定した。
 米メディアは、トランプ氏とヘリに同乗したことのあるカリフォルニア州のジェリー・ブラウン前知事(86)と混同した可能性を指摘する。ただ、その際には緊急着陸はなかったという。
 報道によると、ハリス氏は郡検事を務めていた1990年代半ば、州議会下院議長だったブラウン元市長と交際していた。元市長には長年別居している妻がいた。ブラウン氏は議長の権限でハリス氏を二つの州審議会の役職に任命した。
 共和党は、ハリス氏が州政界の実力者である元市長との私的な関係を利用し、政界で出世したと批判している。【ワシントン秋山信一】

ハリス陣営、ウォルズ氏の軍歴巡る過去の発言「不正確」と認める(2024年8月10日『毎日新聞』)
キャプチャ
演説する米中西部ミネソタ州のティム・ウォルズ知事(民主党)=西部アリゾナ州で8月9日、AP
 11月の米大統領選で初当選を目指す民主党のカマラ・ハリス副大統領(59)の陣営は9日、副大統領候補に起用した中西部ミネソタ州のティム・ウォルズ知事(60)が自らの軍歴に関して過去に「不正確な発言をした」と認めた。米メディアが報じた。
 ウォルズ氏は戦闘部隊に従事した経験はないが、銃規制強化の必要性を訴える際に「私が戦争で携帯したような銃は、戦場でのみ存在すべきだ」と述べていた。
 問題になったのは、ウォルズ氏の2018年の発言だ。銃購入希望者の身元調査や殺傷力が高い銃の販売禁止を訴える趣旨だった。
 ハリス陣営が6日にこの発言が含まれる動画を公開した後、共和党副大統領候補のJ・D・バンス連邦上院議員(40)らが「ウォルズ氏は軍歴を偽っている」と問題視していた。バンス氏は海兵隊員としてイラク派遣の経験がある。
 ハリス陣営の広報担当者は9日の声明で「ウォルズ氏は不正確な発言をした。国民の国家への奉仕を侮辱する意図はなかった。バンス氏が前線に赴いたことにも感謝している」と釈明した。
 AP通信によると、ウォルズ氏は05年までの24年間、陸軍州兵を務めた。アフガニスタン戦争の後方支援を担うために欧州へ派遣されたことはあるが、戦闘地域での経験はない。
 ウォルズ氏が連邦下院選出馬へ向けて州兵を退役した約3カ月後、所属部隊のイラク派遣が決定した経緯がある。退役がイラク派遣を避けるためだったかは不明だが、共和党は「戦地派遣から逃げた」と批判している。【ワシントン秋山信一】
   ◇   ◇
 <おことわり> 米大統領選で、民主党副大統領候補の名字の表記を「ワルツ」から「ウォルズ」に変更します。現地の発音により近い表記に合わせます。

ペンシルベニア州ハリスバーグでの選挙集会で、演説するドナルド・トランプ前大統領(2024年7月31日撮影)。【翻訳編集】(2024年8月10日『 AFPBB News』)
 
キャプチャ
【AFP=時事】米大統領選の共和党候補、ドナルド・トランプDonald Trump)前大統領が数か月ぶりの記者会見で、ウィリー・ブラウン(Willie Brown)元サンフランシスコ市長(90)と一緒にヘリコプターに乗っていた際に危うく死にかけたという驚くべき話を披露し、話題を集めている。だが唯一の問題は、そのような緊急事態の記録はなく、ブラウン氏もトランプ氏とヘリに乗ったことはないと主張していることだ。
キャプチャ2
【字幕】ハリス氏は「突然黒人になった」 トランプ氏
 
 トランプ氏は8日、フロリダ州の邸宅前で記者団に対し、ブラウン元市長のことは「とてもよく」知っていると主張した。 「実際、一緒にヘリに乗っていた時に墜落しかけたこともある。一巻の終わりかもしれないと思った。とある場所に一緒に向かっていた際、ヘリが緊急着陸した」「快適な着陸とは言えず、ウィリーは少しうろたえていたよ」と振り返った。
 一方のブラウン元市長は、直ちにトランプ氏の主張を否定。トランプ氏とは一度も一緒に仕事をしたことがなく、ヘリには一緒に乗りたくもないと主張した。さらにサンフランシスコ・クロニクル紙に対して、「私がトランプ氏と一緒にヘリで墜落しかけたことがあれば、皆さんも知っているはずだ」と語った。  トランプ氏の話は、ブラウン元市長以外にも驚きをもって受け止められ、会見に関する一番の話題となった。英紙ガーディアンは、トランプ氏が「ヘリコプターに関して大ぼらを吹いた」と報じている。  カリフォルニア州議会の議長も務め、同州政界の有力者だったブラウン元市長の名前が出たのは、同市長は1990年代、大統領選でトランプ氏のライバルとなる民主党候補のカマラ・ハリス(Kamala Harris)副大統領と1年ほど交際していたからだ。  トランプ氏は、同乗した際にブラウン元市長は機内でハリス氏の「悪口」を言っていたとし、「その時にはもう彼女のことをあまり好きではなかった」ようだとも主張した。  しかし専門家は、トランプ氏がもう1人のブラウン氏と混同したのではないかと指摘している。トランプ氏は2018年、山火事で壊滅的な被害を受けたカリフォルニア州北部の町パラダイス(Paradise)を視察する際、ジェリー・ブラウン(Jerry Brown)前知事とヘリに同乗したことがある。  だが、ブラウン前知事はワシントン・ポスト紙に対し、その際にヘリが危険な目に遭ったことはなかったと語った。【翻訳編集】 AFPBB News