総務警察委員会で不祥事案件の再発防止対策について述べる野川明輝本部長(前列左から2人目)=6日午前、鹿児島県議会
鹿児島県警がまとめた不祥事の再発防止対策や原因分析について、県議会総務警察委員会(西村協委員長)は6日、閉会中委員会を開き調査した。対策に取り組む具体的な日程が不明瞭で、委員から出た意見をどのように反映するかも明示されなかった。この日が調査特別委員会(百条委員会)の設置判断の材料の一つとされる中、出席者からは「具体性に欠け、納得できない」と批判が相次いだ。
再発防止策は2日付で公開された。警部補以下でつくる「改革推進研究会」が本部長に直言できる仕組みや人材育成強化の研修案などが盛り込まれた。
委員らは「取り組みの開始時期や達成期限が示されていない」「進ちょく状況を県民が確認するすべがない」などと指摘。「ホームページなどで随時知らせる必要がある」と求めた。県警は「すでに始めたものもある。可能な限り状況を示したい」と答えた。
対策の柱の一つには「県民への誠実な姿勢」を掲げている。委員から「今回出た意見を反映させ、再び説明する場を持つ考えはあるか」と問われた野川明輝本部長は「県警としてできる限りのものを誠実に示した。この形でスタートできるものは始めたい」と強調。「県民の声を受け止めるという観点からも、どこかの段階で改善を加えたものは示したい」と話した。
複数人が「警察関係の組織だけで原因分析や対策策定を進めており、外部の目が入っていない」などと批判。「今すぐ解決しなければならないのに精神論ばかりが書かれている。対策ではなく、案に過ぎない」との厳しい声もあった。
総務警察委員会の西村委員長は「百条委設置の論議がある中、まずは総務警察委で多種多様な意見を出すという役目は果たせた」と話した。
【県警不祥事】厳しい質問が相次ぐ 県警の再発防止策を巡り県議会総務警察委員会(2024年8月7日『鹿児島ニュースKTS』)
一連の不祥事を受けて、強い調査権限を持つ百条委員会の設置が検討される中、県警が8月2日、再発防止策を発表したことを受けて、県議会では6日、総務警察委員会が開かれました。委員からは再発防止策のスケジュールや実効性について質問が相次ぎました。
県警本部・野川明輝本部長
「県民に多大な不安与えたことを深くおわびする。信頼回復は簡単ではないが、様々な施策を推進し、多くの県民から『県警は変わった』と思ってもらえるよう全力で取り組む」
2024年度に入り、警察官や元幹部あわせて4人が相次いで逮捕された鹿児島県警。
県警は8月2日、警部補以下で構成され、本部長に直接提言できる研究会や、幹部職員で構成される委員会の設置などを盛り込んだ再発防止策を示しました。
これを受けて6日は、地方自治法に基づき強い権限で調査できる「百条委員会」の設置を検討するため、県議会の総務警察委員会が開かれました。
委員からは新たに設置される研究会や委員会について、スケジュールや実効性に関する質問が相次ぎました。
瀬戸口三郎議員
「改革推進委員会は定期的に行うのか?」
県警本部・牛垣誠首席監察官
「具体的なことはまだ。まずは改革推進研究会でなされた提案が上がってきた時点で、改革推進委員会が開かれると考えている」
湯浅慎太郎議員
「上司に対してもの申すというような意見もおそらく出てくる。これが人事評価に影響するのではないかという懸念もある」
県警本部・牛垣誠首席監察官
「こういった場で建設的な意見を出すことが評価につながるという考え方もある」
湯浅慎太郎議員
「耳の痛い話も含まれていくと思うが」
福司山宣介議員
「目標が定められるものは定める。スケジュールが明らかにできるものはする。そういったものでないと説得力がない。これは”策”ではない、単なる”考え方”」
また、警察の内部資料を漏えいした疑いで逮捕・起訴された前生活安全部長の本田尚志被告が動機について「野川本部長による隠ぺいを告発するため」と話している件をうけ、内部通報のあり方についても疑問が呈されました。
瀬戸口三郎議員
「内部でもう少し情報を流して、それが機能していなかったのではないか。言いにくいことが警察の中にあったのでは」
牛垣誠・首席監察官
「県警では内部公益通報制度があり、職員に周知されているものと承知している。
公益通報の意味合いだったのであれば、そうすればよかったのではないかと今の時点では考えている」
瀬戸口三郎委員
「もっと内部情報を提供しやすい改革案はあるのか」
牛垣誠首席監察官
「まだ十分でないというのであれば、今後また検討したい」
午前10時から始まった総務警察委員会は午後7時前に終わりました。
県議会では今後、各会派の代表者会議などを行い、百条委員会の設置について検討を進めることにしています。