あす都知事選 若者の1票で変えよう(2024年7月6日『東京新聞』-「社説」)

 東京都知事選はあす投開票が行われる。有権者が投じる1票は都政を通じて国の政策にも影響を与える可能性を秘めた重要な意思表示だ。棄権する割合の高い若者には自身の将来をも見据え、大切な選挙権を行使してほしい。
 3選を目指す現職の小池百合子氏に対し、蓮舫参院議員、石丸伸二前広島県安芸高田市長らが都政刷新を迫る。自民、公明、国民民主各党が小池氏、立憲民主、共産、社民3党が蓮舫氏をそれぞれ支援し、国政の与野党による対決構図が持ち込まれた。
 小池都政の評価を最大の争点とし、高齢化社会への備えや神宮外苑再開発の是非などを巡り、各候補が舌戦を繰り広げている。
 注目したいのが投票率。2020年の前回都知事選は55・00%でほぼ2人に1人が棄権した。
 東京都の人口は約1400万人と日本全体の1割超を占め、年間予算は約16兆円とスウェーデン1国分に匹敵する。大きな責任と強い権限を持つ都知事に、有権者が無関心でいいはずがない。
 投票率が特に低いのが20代の若者だ。前回の都知事選では「21~24歳」が39・19%、「25~29歳」が41・89%にとどまった。
 都政への関心が低い若者に直視してほしいのが少子化問題だ。
 多様な生き方が可能な現代社会でも、結婚や出産を人生設計の根幹に置く人は多いはずだ。東京の合計特殊出生率は全国最低の0・99。「子育てに金が掛かる」「育児休暇が取りにくい」-こんな理由で結婚や出産を諦める東京の現状が望ましいはずはない。
 独身者の結婚希望や理想の子ども数を加味した希望出生率1・6を、ぜひ実現したい。多くの若者が候補者の少子化対策を見比べ、意思を持って投票すれば、社会を変える力になるはずだ。
 公約の比較や見極めは簡単ではないが、数値目標や実現の方法、財源の根拠などが具体的に示してあれば選択の根拠になり得る。
 東京、そして日本社会の在り方を決めるのは、あなた自身。特に未来を生きる若者には、無関心であってほしくない。