都議選全敗の可能性を示す自民党調査
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「都議補選で自民党が全敗する可能性がある。そうなると都議選の本選を来年に控える都議たちから『岸田総理では戦えない』という声が噴出するだろう」
ある自民党閣僚経験者はこう語る。
「調査では品川区、北区、江東区、府中市と4つの選挙区で自民党候補が優位に立っていた。しかし、どこも追い上げられており、逃げ切れそうのは北区だけだと言われています。一方、立憲との一騎打ちの足立区、野党系無所属との一騎討ちの八王子はかなり離されている」
ただし、北区すらも決して油断はできないという。
「昨年の北区長選で区議会議員団が分裂し、11人の区議のうち7人が会派を離脱して新しい会派を作った。今回補選に出ている戸枝大幸さんは残った4人のうちの1人です。そのため戸枝さんを積極的に応援する区議は3人しかいないということになる。
一方、調査では約5ポイント差で2番目に共産党候補が来ているが、1番のライバルは都民ファーストから出ている駒崎美紀さんでしょう。小池知事との相乗効果も期待されるし、何より昨年の区長選では政党の推薦をもらわない完全無所属ながら7千票差で次点と健闘した。自民党の調査では7ポイント差ですが、投票先を決めていない人が3割いるのでそこを取り込まれると逆転されてしまう」(北区の自民党関係者)
河野大臣の「ヤカラを許さない」発言
候補者の応援に駆けつけた高市早苗大臣(筆者撮影)
区議会議員の数は自民党と公明党がそれぞれ13人もいる。これに対して、立憲民主党は2人だったが、都議補選にそのうちの1人の銀川ゆい子が出馬し、もう一人はそのタイミングで離党したためなんとゼロ人。共産党の区議は6人いるが、自力の差は明らかだ。それでも、今の大逆風の自民党では、地盤の強い足立区であっても敗れるのではないかと危惧されているのだ。
それだけに両陣営ともに国政選挙並みの力の入れようである。7月2日には自民党の榎本ふみこ候補の応援に総裁選出馬が取り沙汰されている二人の大物議員が駆けつけた。
「スマホを持っている人は、スマホで便利に家から区役所に行かなくても行政の手続きができる。スマホを使わない人も、区役所まで足を運んでいただかないといけないが、そこで窓口を回ったり書類を書いたりしなくても手続きすることができます」
例によってデジタル化を進めることで行政手続きが便利になることをひとしきり語る河野大臣。
演説中、複数の聴衆から「嘘つきデマ太郎!」「責任取れ!」などと矢継ぎ早にヤジを飛ばされ続けていた。すると、さすがに我慢がならなかったのか演説から12分が経過すると「攻勢」に転じる。
「最近、選挙で悪ノリをする人たちが増えていると思いませんか。都知事選挙の看板を見ても、真面目にこの国の未来を、都政の未来を考えているのか甚だ疑問になるようなものも見られます。この選挙運動を通じてYouTubeの再生回数を増やしてお金を稼ごう、そういう邪な考えで選挙妨害に近いことをする人が増えました。こういうヤカラを許しておいてはなりません」
「人がしゃべっている時にその横で大きな声をあげる。選挙の役にも立ちませんし、この国の未来を作ることにも何の役にも立ちません。そうやって面白がっている人の動画を見て、その人にチャリンチャリンとお金が入っていく仕組み、これはなんかしなければいけないのかもしれません」
「なんでもいいですから榎本さんが訴えてはる事、一つでもいいから会うた人、かたっぱ(片っ端から)伝えてってください」
「今回は事実上の与野党対決です。残念ながら裏金事件が通常国会の最大の争点でしたが、分かったことは、自民党は全く反省してないということです。反省していないならば、自民党にことあるごとにペナルティを与える投票行動をしなければならないと思います。そのペナルティの意味も含めて投票行動していただきたい」
裏金議員の地元でも厳しい情勢
候補者の応援に駆けつけた野田佳彦元首相
この後も次々とマイクを回しての演説が行われ、銀川候補が挨拶を始めたのは開始から1時間を経過してからだった。
手塚さんが何でも決めてしまう都連の体制への不満があったと思われるが、小さいところでも内紛が起きてしまうのは立憲らしいです」(立憲民主党関係者)
「板橋はなんと共産党候補に僅差でリードを許している。自民党は下村さんの元秘書で都議を1期やった後に2連敗している河野ゆうき候補だが、同じく下村さんの元秘書で現職の松田康将都議は来年の都議選を見据えて河野さんの選対本部長就任を断ったそうです。
八王子は今年1月の市長選に立候補して善戦した滝田康彦候補が自民党の馬場たかひろ候補を10ポイント以上リードしている。滝田氏は元都民ファーストで小池知事からも気に入られていた。東京15区の補選では都民ファの推す乙武洋匡氏の街頭演説を手伝う姿も目撃されており、都民ファとの関係も切れていない」(前出・自民党都連関係者)
小川 匡則(週刊現代記者)