“手話”と“声”で歌を表現する「ホワイトハンドコーラス」 全身で奏でるバリアゼロの合唱団(2024年6月22日『FNNプライムオンライン』)

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(C)FNNプライムオンライン
障害のある子もない子もみんな一緒に楽しめる合唱団を立ち上げた、ソプラノ歌手のコロンえりかさん。
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光る手袋でサインの軌跡を表した写真も話題に
音楽大学時代にろう学校(特別支援学校)で研修があり、耳が聞こえない人が目で聞こうとしているのを見て、『音楽は音の世界だけではなく、もっとその先に深いものがある』と感じました。
その時『ホワイトハンドコーラス』という表現形態がベネズエラにあることを知り、こんなに美しい音楽の形があるだろうかと、その美しさに感激しました」
聞こえない子も見えない子も
ベネズエラ生まれのコロンさんは、声と手話をベースにした”手歌”を使って音楽を表現する「ホワイトハンドコーラス」に出会い、2017年に日本で合唱団を立ち上げた。
ホワイトハンドコーラスに参加する子どもたちは、障害のある子もない子も体全体んなと一緒に手でも歌えている」と笑顔を見せる。
この取り組みが評価され、今年2月、バリアフリー活動を称える国際賞「ゼロ・プロジェクトを使って歌を表現する。
合唱団のメンバーは、「手話でたくさん表現ができて気持ち良く、うれしい」「み・アワード」を受賞した。
また、光る手袋でサインの軌跡を表した写真も話題となった。
撮影した写真家の田頭真理子さんは、「子どもたちのエネルギーは本当にすごいです」と話す。
コロンさんは「お互いのことがもっと理解できて、もっとたくさんの子どもたちに『音楽は近いところにあるんだよ』ということを広めたいです」と語った。
SDGsとは、2015年9月の国連サミットで、全会一致で採択された「持続可能な開発目標」

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プロフィールProfile
ソプラノ歌手/ホワイトハンドコーラスNIPPON芸術監督
ベネズエラ生まれ。聖心女子大学、大学院で教育学を学んだ後、英国王立音楽院声楽科修士課程を優秀賞で卒業。2019年東京国際声楽コンクールにて史上初グランプリ・歌曲両部門で優勝。日本ではラ・フォル・ジュルネ井上道義指揮、野田秀樹演出の「フィガロの結婚」など全国で公演。キングレコードより「BRIDGE」をリリース。イタリア、フランス、イギリスでの音楽祭出演、国内外で演奏活動を続けながら、ホワイトハンドコーラスNIPPONの芸術監督として、視覚・聴覚など障害のある子どもたちに音楽を教えている。一般社団法人El Sistema Connectの代表理事として音楽によるソーシャル・インクルージョンを目指した活動を模索し続けている。4児の母。
メッセージMessage
「音楽は全ての子どもの権利」
エルシステマは、音楽の力を信じるソーシャル・ムーブメントです。
音楽は、尊い一人一人の魂を動かし、志を目覚めさせ、人を繋ぎ、壁を乗り越える力を与え、社会に変革と慰めと希望を与えてくれます。
多くの子どもたちが、ここで学んだことを家庭の中で、学校で、そしてコミュニティに広げ、インクルージョンのリーダーとなっています。また耳の聞こえない仲間と手を取り合うことで、見えないはずの音楽は手話によって「見える」ものとなり、芸術表現として新たな翼を広げています。
聴覚障害に苦悩したベートーヴェンは「芸術の最大の目的は、自由と社会の進歩だ」と手紙に残しています。一冊の本、一人の先生、一編の詩、そして一つの音楽が人生を動かしていくように、私たちは一人の子どもがホンモノの芸術に触れることは、社会を変えていくことにつながると信じています。一人の子どもを育てるには、たくさんの関わりと愛情が必要です。人間がより人間らしくある世界へ、ぜひ一緒に喜びの歌を奏でてください。