「静」の小池百合子氏、「動」の蓮舫氏 対称的なスタートを切った理由とは… 東京都知事選 (2024年6月21日『東京新聞』)

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東京都知事選が20日告示され、17日間の選挙戦が始まった。
現職の小池百合子氏(71)は出発式に臨んだものの、わずか7分ほどであいさつを終え、街頭演説も行わなかった。
これに対し、前参院議員の蓮舫氏(56)は、古巣の立憲民主党の国会議員らの応援を受け、小池氏への対抗心をむき出しにした。
「静」の小池氏と、「動」の蓮舫氏。2人が対称的なスタートを切った理由とは―。(渡辺真由子、原田遼)
◆小池氏:3選へ「立ち止まる余裕はない」
小池氏はイメージカラーの緑色の半袖ジャケットに身を包み、午前10時半から、新宿駅近くの選挙事務所で出発式に出席した。
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出発式を終え支援者に見送られる小池百合子氏(左)=新宿区で
「今立ち止まる、そんな余裕はない。取り残されないように東京は常にもっともっと良くならなければいけない」と3選への決意を語った。
会場となった事務所2階の部屋は、赤ちゃん連れの母親や大学生など若い世代を中心に支援者約30人と報道関係者約90人であふれかえった。入りきれずに階下でモニター越しに小池氏の挨拶を聞く人も。
過去最多の56人が立候補する中、小池氏陣営は5番目で届け出を完了。陣営関係者は「式の予定時間に間に合って良かった」と胸をなで下ろした。
小池氏は挨拶の中で、「新型コロナウイルス対応」「待機児童解消」など2期8年の実績に触れつつ、「課題は山ほどあるが正面から向き合っていく」と述べ、最後は「がんばります」とガッツポーズで締めくくった。7分ほどのあいさつのみで出発式は終了。応援弁士もいなかった。
◆現職として「公務を優先」
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視察後、報道陣の取材に応じる小池氏=千代田区
その後「公務のため」と都庁に戻った小池氏は、正午前に神事のため選挙事務所に立ち寄ったものの、午後は公務として、大手町の森(千代田区)などを視察。報道陣の取材に「持続可能な街づくりの好事例。緑を増やしていくことを進めたい」と語った。
結局、小池氏は初日は街頭で演説を行わなかった。陣営関係者は「現職として公務を優先」としつつも、政治団体「つばさの党」の選挙妨害事件を念頭に「街頭演説は警備と相談する部分も多い」と話した。
蓮舫氏:40分遅れの決意「若い人支えたい」
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掲示板にポスターを張る蓮舫氏=中野区で
一方の蓮舫氏は午前11時すぎに中野駅前の街頭演説会場に現れ、「徹底して若い人たちを支えたい。若者が何かをあきらめず、やりたいことを選択できる。それこそが国より率先して都ができることだ」と、声を張り上げた。
立候補者が殺到したため、届け出に時間がかかり、演説開始が遅れた。陣営関係者が取材に「第一声が昼のニュースに間に合うか…。せめて夕刊には入れてくださいね」と気をもむ中、40分遅れでスタート。数百人の聴衆が集まり、高架にある駅のホームからも写真を撮ったり、手を振ったりする人がいた。
最も重視するのは少子化対策だ。若者の賃金や手取りの少なさが結婚や出産を諦める要因になっていると分析。公約で奨学金返済の支援や、都が契約する事業者に対する従業員の待遇改善などを掲げた。
◆「萩生田さん、やましいから立てないんでしょ」
裏金問題で批判を浴びる自民党から支援を受ける小池氏をけん制。「(自民党は)みなさんの暮らしよりも裏金だ。こんな政治の劣化がみなさんの暮らしに届いていないのであれば、私がリーダーとなり、東京から変えたい」と訴えた。
演説には古巣の立民から長妻昭枝野幸男衆院議員、辻元清美参院議員が参戦。応援弁士がいなかった小池氏とは真逆だ。
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東京都知事選に立候補し、車上から手を振る蓮舫氏(中央右)。左から立憲民主党枝野幸男衆院議員、辻元清美参院議員、右端は長妻昭政調会長=中野区
その小池氏の初日の選挙戦について、辻元氏はこう皮肉った。「萩生田(光一・自民党都連会長)さんも私たちのように小池さんの横で応援すればいい。やましいことあるから立てないんでしょう」