これで「デジタル化」とは聞いてあきれる。かえって透明性が低下しかねない。
透明性を向上させるためには、公表の方法を根本的に変える必要がある。
鍵はオープンデータ化である。
オープンデータ化とは、コンピューターが分類、整理できるファイル形式で公開することだ。不透明な資金の出入りが多い政治家をあぶり出すことも容易になる。
国際機関の2017年の調査によれば、米英やカナダ、メキシコなど少なくとも13カ国がオープンデータで公開している。
政党や政治家は複数の団体を持ち、総務省と選管へ別々に届けているケースが多く、全体像の把握が難しい。
与党案には、情報公開を後退させる内容もある。
官報や都道府県公報に収支報告書の要旨が掲載されなくなる。官公報は永久保存されるが、報告書は3年間しか保存されない。
官公報への掲載をなくすのであれば、代わりに収支報告書を永久保存とするのが筋ではないか。
規正法は、公表の目的を「政治活動を国民の不断の監視と批判の下に置く」ことと定めている。原点に立ち返り、デジタル技術をカネの流れの可視化に生かす法改正にすべきだ。