半世紀ぶりに百条委員会の設置を可決、兵庫県議会 斎藤元彦知事は「重く受け止め、今後説明責任を果たす」県職員の告発文書には”知事のパワハラ、おねだり体質”(2024年6月13日『MBSニュース』)

半世紀ぶりに百条委員会の設置を可決、兵庫県議会 斎藤元彦知事は「重く受け止め、今後説明責任を果たす」県職員の告発文書には”知事のパワハラ、おねだり体質”(2024年6月13日『MBSニュース』)
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兵庫県議会での斎藤知事(午後0時すぎ)
兵庫県の斎藤元彦知事に対して、県の元幹部職員が「パワハラ」などとする告発文書を作成し送った件に絡み、さきほど県議会で百条委員会の設置が可決されました。設置は51年ぶりです。
今年3月、兵庫県の元幹部職員(60)が、「斎藤元彦知事のパワハラ行為や、県内企業からの商品の受け取りなど」を告発する文書を作成し、一部の報道機関などに送りました。
知事は当初、文書の内容は「事実無根」だとし、その後の県の調査でも、「核心的な部分は事実でない」と結論付け、男性職員は勤務中に私的な文書を作成したなどとして停職3か月の懲戒処分となりました。
しかし、告発文の内容に一部事実が含まれることなどから、きょう自民党とひょうご県民連合は、本会議で文書の内容を再調査するための百条委員会の設置を提案し、賛成多数で可決されました。
兵庫県議会に百条委員会が設置されるのは、51年ぶりだということです。
◆斎藤知事「今後、説明責任果たす」
齊藤知事は午後4時半ごろ、閉会に際して以下のように話しました。
「今般の職員による文書作成にかかわる事案について、いわゆる百条委員会が設置されることが決まった。」
「重く受け止めると共に今後、説明責任を果たし、改善すべきところをしっかり改善し、県民のみなさんの信頼を一層回復、そして高めていくためにに真摯に取り組んでいきたいと思う。」
◆どんな告発文書だったのか
問題の発端は今年3月、兵庫県西播磨県民局長だった男性職員が一部の報道機関や県議会議員に送った「斎藤元彦兵庫県知事の違法行為等について」という表題の内部告発
「知事のパワハラは職員の限界を超え、あちこちから悲鳴が聞こえてくる」(文書より)
文書には、斎藤知事による職員へのパワハラの実態などが記されていました。例えば去年11月、知事が兵庫県立考古博物館を訪れた際、自動車進入禁止だったため施設の入口の20mほど手前で公用車を降りることになったといいます。
この際、知事は歩かされたことを理由に担当者をどなり散らし、その後は一言も口をきかなかったというのです。
「斎藤知事のおねだり体質は県庁内でも有名」
告発文では他にも…「斎藤知事のおねだり体質は県庁内でも有名」などと、県内の企業を視察した際に高級コーヒーメーカーを受け取っていた、などと記されています。
この告発文について斎藤知事は「事実無根の内容が多々含まれている。ありもしないことを縷々並べたような内容。嘘八百を含めて文書作って流すという行為は公務員として失格です」と述べていました。
ところが後日、県が告発文の内容について調査したところ、県の幹部が文書に書かれていた企業からコーヒーメーカーを受け取っていたと認定したのです。(その後返却)
さらに一部の県議が県の職員およそ300人を対象に独自のアンケートを実施したところ、回答した21人中7人が、知事のパワハラを訴えたということです。
◆50対35で可決
知事が「嘘八百」と言い切った告発文に事実が含まれていたことを受け、県は第三者委員会の設置を決めました。
さらにきょう、兵庫県議会では、強い調査権限を持つ百条委員会の設置が、50対35で可決されました。
動議を提案した、最大会派の自民と、ひょうご県民連合などは賛成。いっぽう維新や公明は反対しました。
 

兵庫県議会、内容検証のため百条委設置へ 知事批判文書配布問題(2024年6月13日『毎日新聞』)
 
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斎藤元彦・兵庫県知事=神戸市中央区で2023年12月23日、久保玲撮影
 兵庫県の斎藤元彦知事ら県幹部を批判する文書を作成し流布したとして元幹部職員が懲戒処分を受けた問題で、県議会は13日、文書に書かれた内容を検証するための調査特別委員会(百条委員会)の設置案を賛成多数で可決した。
 文書は元西播磨県民局長の男性職員(60)が作成。知事が職員にパワーハラスメントをしたり、企業から贈答品を受け取ったりしたという内容で、3月に県議会関係者や報道機関に配ったとされる。
 県は3月末に局長を解任し、内部調査を実施。5月に「核心的な部分が事実ではなく、誹謗(ひぼう)中傷に当たる」と認定する調査結果を明らかにした上で、元局長を停職3カ月の懲戒処分とした。
 県議会は調査結果などに対して「公平性、客観性に欠ける」と指摘。斎藤知事はこれに応える形で第三者機関による再調査を明言したが、自民党系の最大会派などが「議会が積極的に関わり実態解明を進める必要がある」と百条委設置に前向きだった。一方、日本維新の会公明党系会派は「第三者機関による調査が進められるため、必要がない」と反対していた。
 百条委は地方自治法100条に基づき設置され、地方議会が行政事務を調査する。証人の出頭や証拠提出を求める強い調査権限を持ち、虚偽陳述などには禁錮や罰金が科される。兵庫県議会で設置されるのは1973年以来。【中尾卓英、山田麻未】