横浜市教委傍聴動員 「児童の人権」持ち出すずる賢さ(2024年6月2日『毎日新聞』-「松尾貴史のちょっと違和感」)

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松尾貴史さん作
 横浜地裁は、小学校の校長室内で当時9歳の女児にキスをするなどしたとして強制わいせつ罪に問われた元校長に、懲役1年6月、執行猶予3年の有罪判決を言い渡した。裁判官は「女児の今後の心身の発育に影響を与えることも強く懸念される」と述べた。
 こういう人物が小学校校長という重職に就いていて、校長の立場を利用したという事実はもちろん面妖である。だが、なりふりかまわず彼を「守ろうとした」横浜市教育委員会は、もはや子どもたちを指導する立場の人材や組織を管理する能力も良識も持っていないことがよくわかった。
 報道によれば、同市教委はこの事件を含む4件の裁判で多数の職員を傍聴に動員し、一般傍聴ができないようにしていた。私個人としては、こんなケースは被告の名前も顔も公にさらして再発を防ぐのが肝要だと思うが、市教委はこの期に及んでなぜ恥の上塗りをしてしまったのだろうか。