「誰も助けに行かないし、苦しそうな男の子を何とか助けたかった」
川幅は約30メートル。そばの橋には通行人がいたが、なすすべもなく立ち尽くしていた。雨上がりで周辺の当時の気温は15度と肌寒い日だった。しかし、迷っている暇はない。服を脱ぎ捨て川に飛び込んだ。
川底は深く足が届かず焦った。なんとか男児に泳ぎ着き、いったん体をつかんだものの、流れにのまれて、また引き離された。2人は流されながら無我夢中で岸を目指した。運良く男性が川の真ん中に足がつく場所を発見、そこで男児を確保した。
胸まで水につかったまま、冷たさに耐えながら男児を抱きかかえ、通行人が呼んでくれた消防隊の救助を待った。
「慌てないで、息をしよう」。声をかけ続けた。男児は次第に落ち着いていったという。
救助を待っていた時間は5分から10分程度だったが、「とても長かった。死なんでよかった」。自身も低体温症で病院で手当てを受けることになった救出劇だった。射水署によると、その後、男児も回復し、元気に登校しているという。
男性は高校時代のサッカー部のコーチから言われた「人のためにやれることをやれ」が信条。人助けのため、警察官になりたいと勉強を続けている。
男性は「感謝されてうれしかった。これからも人を助けることを続けていきたい」と語った。