政治資金規正法改正へ 自民が再修正案を提示 公明・維新は賛成の方針 来週衆院通過へ(2024年5月31日『TBS NEWS』)


派閥の裏金事件を受けた政治資金規正法の改正をめぐり、自民党は法案の再修正案を各党に提示しました。公明党日本維新の会に譲歩した内容で両党は法案に賛成する方針です。
政治資金規正法の改正をめぐっては、これまで自民党は▼パーティー券の購入者の公開基準について、いまの「20万円超え」から「10万円超え」への引き下げを主張してきましたが、公明党日本維新の会などの主張に譲歩し、「5万円超え」に引き下げる再修正案をきょう(31日)、与野党に提示しました。
また、政党から議員個人に支給される政策活動費についても公明党の求めに応じ透明性を確保するための第三者機関の設置の他、日本維新の会が主張する「10年後の領収書の公開」を盛り込むとしています。
自民党公明党日本維新の会の賛同を得て改正案の成立を図りたい考えで、来週3日に政治改革を議論する特別委員会を開き、法案を採決する日程を主張しましたが、野党側は「審議時間が全く足りなく採決は容認できない」と反発するなど、与野党の協議は難航しています。
立憲民主党 笠浩史 野党筆頭理事
「とてもじゃないけれども、採決をするような環境じゃないし、国民をなめているんじゃないかというようなこの対応には強く抗議したい」
自民党は来週4日に衆議院を通過させたい考えですが、野党は、“委員会での総理に対する質疑がなければ採決には応じられない”と対決姿勢を見せていて、与野党の攻防はヤマ場を迎えています。
 

自公、パー券購入者公開「5万円超」で合意 規正法改正巡り(2024年5月31日『毎日新聞』)
 
キャプチャ
岸田文雄首相(右)と握手する公明党山口那津男代表=首相官邸で2024年5月31日午前10時31分、和田大典撮影
 岸田文雄首相(自民党総裁)は31日午前、政治資金パーティー裏金事件を受けた政治資金規正法改正に向けた法案修正を巡り、公明党山口那津男代表と首相官邸で会談した。パーティー券購入者の公開基準額について、公明党の要望を受け入れて現行の「20万円超」から「5万円超」に引き下げることで合意した。自民修正案は「10万円超」にとどまり、公明側がさらなる修正を強く求めていた。
 首相は、山口氏との会談後、日本維新の会馬場伸幸代表とも会談した。公明、維新の要求を再修正案に取り込むことで法案成立に道筋を付けたい考えだ。
 山口氏は会談後、記者団に、パーティー券購入者の公開額について「10万円だったが、これを5万円とする」と説明。また政治資金の透明性確保のため、外部監査として「第三者機関」を設置し、政党から議員個人に支出され使途が公開されない「政策活動費」の支出内容をチェックすることでも合意したと明らかにした。実施時期など詳細は今後、調整する。自民の提案については党内に持ち帰って対応を検討する。
 公明党は、自民案に対して施行3年後をめどとした見直し規定の明記を盛り込むことなどと引き換えに、採決では賛成する方針だった。だが、世論の反発や野党が公明の対応への批判を強めたことなどを受け、法案の更なる修正を求める動きをみせていた。
 山口氏は30日の党会合で、パーティー券購入者の公開基準額についての主張は変わらないと強調した上で、自民修正案について「そのまま賛同することはできない」と言及。同日のBS番組では、5万円超への引き下げは維新や国民民主党も求めているとして、「自民党が5万円超と決断すればかなり幅広い合意になる」として「高いレベルで英断をしてほしい」と期待感を示していた。
 首相は、山口氏との会談後、国会内で維新の馬場氏と会談に臨んだ。維新は、政策活動費の10年後公開などを提案している。維新案は、政党から議員らに精算不要な「渡し切り」で経費を支出することなどを禁止した上で、「特定支出制度」を新設。「特定支出」の報告書に領収書を添付して総務省などに提出し、10年後に公開するとしている。
 第三者機関の設置は維新に加え、公明も主張しており、法案に盛り込むことで、法案成立に向けて与野党の協力を取り付ける思惑がある。【野間口陽、樋口淳也】