政治資金規正法の改正に向けて衆議院の特別委員会では与野党双方から提出された法案に対する質疑が始まり、議員への罰則を強化する具体策などをめぐって議論が行われました。

政治資金規正法の改正に向けて衆議院の政治改革を議論する特別委員会では
自民党の法案
◇立憲民主、国民民主両党の法案
日本維新の会の法案など
合わせて5つの法案に対する質疑が始まりました。

自民党の木原幹事長代理は「真摯(しんし)に反省し、再発防止策を講じなければならないのと同時に、多様な政治資金へのアクセスを確保し、政治家一人一人が自らの足で立てるように、地に足のついた議論が重要だ」と指摘しました。

自民党の法案の提出者、鈴木馨祐氏は「再発防止の徹底が一番大事で、政治家に直接確認をさせる仕組みの導入で、政治家の言い逃れをなくし、収入を監査対象にして不記載や虚偽記入も抑止する」と述べました。

そのうえで「金のかからない政治が一番大事なのは当然だが、政治には一定の資金が必要だ。何かに過度に依存することなく資金を広く薄く集める努力をすることが大事で、企業・団体などによる献金も許容されると考えている。各党と丁寧に議論しながら必要かつ有意義な見直しには真摯に対応したい」と述べました。

一方、立憲民主党柚木道義氏は「いわゆる『連座制』について自民党の法案は『記憶にない』とか、『秘書や会計責任者に任せていた』という議員の責任転嫁を助長しかねない。立憲民主党と国民民主党の法案は逃げきりを許さない内容なのか」と質問しました。

立憲民主党などの法案の提出者、本庄知史氏は「本人が責任逃れをすることに非常に厳しい目が向けられている。われわれの法案は会計責任者だけではなく政治家本人に直接義務を負わせ、不記載や虚偽記載は刑事罰公民権停止の対象とすることで責任を明らかにしている。自民党の法案のような抜け穴は防ぐようになっている」と述べました。

特別委員会ではあすも質疑が行われることになっています。

立民 長妻政調会長「自民は野党案丸飲みを」

立憲民主党の長妻政務調査会長は記者会見で「自民党の法案で大きく疑問符がつくのが政策活動費だ。『政策活動費は公開する』と言って案を出してきたが、領収書の添付の必要もなく、実質、今と全く変わらない。わが党などの法案は抜け道がなく、丸飲みしてもらえば、会期内にすんなり法律は成立させられる。自民党の対応しだいだ」と述べました。

維新 馬場代表「改革進む項目飲み込めるか 自民の決断待つ」

日本維新の会の馬場代表は記者会見で「問題を起こした自民党が1番ぬるい法案を出しており、乗っていくことはありえない。付帯決議をつけるなどのレベルの話ではなく、国民が『あの自民党がよく決断した』と思うような、われわれやほかの野党が出している、改革が進む項目を飲み込めるかどうかにかかっている。参議院での審議もあるので、タイムリミットは近づいており、自民党の決断を待つ」と述べました。

公明 山口代表「議論深め国民の反応見ていく」

公明党の山口代表は党の中央幹事会で「野党もさまざまなアイデアを提供しているので、議論を深め国民の反応を見ていく。議論の成果をもとにどう合意を作っていくか立法府としての役割が問われる。岸田総理大臣も不退転の決意で今の国会で法改正を成し遂げるという意思を示しているので、自民党総裁としての力強いリーダーシップのもとで合意形成に大きく寄与していただきたい」と述べました。

教育 前原代表「自民党法案 反省全くない」

教育無償化を実現する会の前原代表は記者会見で「自民党の法案は反省が全くない。与党である公明党とも折り合っておらず、実現への本気度にも疑問符を投げかけざるをえない」と述べました。

また、国会で統一会派を組む日本維新の会がパーティー券の購入を含む企業・団体献金の禁止を盛り込んだ政治資金規正法の改正案を提出したことについて「企業・団体献金の禁止は同意するが、パーティー券を購入してもらうことは一定の金額で認めるべきで、そこまで制限して本当に政治活動ができるのかと危惧を持っている。将来に禍根を残すものは望ましくなく、強いこだわりを持って賛同しかねるとは言ったが、会派で波風が立ってはいない」と述べました。