次期衆院選で主要6党が小選挙区(定数289)に擁立を予定している候補者のうち、女性の比率(10日現在)は18・1%で、政府が2025年までの目標とする35%の半分ほどにとどまることが、毎日新聞の調査で判明した。男女の候補者数が均等になることを目指す「政治分野における男女共同参画推進法(候補者男女均等法)」の施行から23日で6年になるが、女性の政治参画が進んでいない。
自民の支部長のうち女性は23人。派閥の政治資金パーティー裏金事件で離党者が出たため、一部の選挙区で擁立方針に不確定要素があるが、公明党が候補者を擁立する11選挙区を除く278選挙区のうち8・2%に当たる。主要6党では最も低い。公明は11人のうち女性は1人で9%。
野党では、共産党が140人中47人(33・5%)▽立憲民主党が178人中38人(21・3%)▽国民民主党が33人中7人(21・2%)▽日本維新の会が157人中29人(18・4%)――の順に女性比率が高いが、いずれも政府目標が掲げる35%には達していない。
21年の前回選で、6党が小選挙区に擁立した候補者の女性比率は15・4%だった。
候補者男女均等法は超党派の議員連盟による議員立法で、18年5月に全会一致で成立した。国政・地方選挙で候補者を擁立する政党などに男女の候補者数を「できる限り均等」とするよう求める内容。理念法にとどまり罰則はない。
各党は女性向けの公募を実施したり、ベビーシッター費用の助成制度を創設したりして女性議員の増加を目指している。一方で、女性議員や候補者に対するハラスメント、党内のポストを巡る男性優位主義的な価値観が強く残っているとの指摘もあり、超党派の議連がより実効性のある法改正を検討している。【安部志帆子】
超党派でつくる議員連盟は、国政選挙で候補者数に占める女性の割合が少ない場合、政党に支給される政党交付金を減額するための法改正を検討している。23日に国会内で開く集会で方針を表明するが、各党で温度差がある他、政治資金規正法の改正などを巡って国会が紛糾しており、今国会で実現できるかは不透明だ。
議連幹部によると、役員会では具体的な減額幅なども一時検討したが、「一度にそこまで進めると幅広い合意が得られない」と慎重な意見が出た。このため、まずは政党助成法の改正で「国政選挙で女性候補者の割合が少ない政党の政党交付金を減額する」という規定を盛り込み、実施時期や減額幅などは各党の実務者協議で検討する方向で合意を得たい考えだ。
◇フランス「パリテ法」を参考に
政党に支給する公費に差を付け、男女の候補者が同数となるよう誘導する仕組みはフランスや韓国などで既に導入されている。
議連が参考にしたのは、フランスが00年に制定した通称・パリテ法だ。パリテは仏語で「同等・同量」を意味する。同法は国民議会(下院)の議員選挙で、各党に男女同数の候補者擁立を義務付け、男女差が2%超の場合、政党交付金のうち得票数に応じて配分される部分を減額する仕組みだ。
フランスでは数年おきに減額幅を増やす改正を重ね、20年間で4倍近く下院の女性議員比率を向上させることに成功した。
また、韓国では小選挙区の3割以上に女性を擁立することを努力義務とし、実際に一定数以上の女性候補者を公認した政党に補助金を支給している。比例区でも、政党の候補者名簿の半数以上が女性でなければならないと定めている。
◇議連会長「与野党で合意を」
議連会長の中川氏は取材に「現在の候補者男女均等法は理念法にとどまる。より具体的な成果につなげるため、与野党が合意できる形でさらなる改正を実現したい」としている。【安部志帆子】