2024年の報道自由度ランキングで、日本は昨年から二つ順位を下げ、180カ国・地域中の70位となった=表。先進7カ国では最下位。欧州の価値観が反映された、一つの指標に過ぎないとの見方はできるが、日本のメディアと権力に対する海外の視線が厳しいことだけは自覚せねばなるまい。
日本が今回、順位を下げた理由の一つは本格運用が始まった「土地利用規制法」。対象となる防衛施設や原発周辺へのジャーナリストを含む立ち入り制限と罰則規定は「反基地や反原発の市民運動を萎縮させる」との指摘もある。
日本の順位の長期低迷は「法的指標」が改善されないためだ。
12年に政権復帰した安倍晋三首相の下、特定秘密保護法や「共謀罪」法が成立した。今国会では機密情報の保護を経済安保分野に広げる法律も成立した。いずれも報道機関による公的情報へのアクセスを制限する恐れがある内容だ。
政府は「取材・報道の自由には十分な配慮がなされ、国民の知る権利は損なわれない」と繰り返すが、安倍政権では報道機関への圧力も問題視された。
日本の記者クラブ制度が「自己検閲」を促し、外国人ジャーナリストらへの差別につながるとの分析も一貫している。
報道の自由度の順位が低いことは謙虚に受け止めつつ、報道・言論機関として権力監視の役割を誠実に果たし、権力の圧力には屈しないとの決意を新たにしたい。