1年前のきょう(5月14日)、ジャニー喜多川元社長の性加害問題について、当時のジャニーズ事務所社長・藤島ジュリー景子氏が、初めて謝罪しました。
【図解】被害補償の現状は?「SMILE-UP.」幹部を単独取材【ジュリー氏謝罪から1年<1>】
謝罪から1年、3つのポイントについて、ジャニー喜多川元社長からの性被害を告白した元ジャニーズJr.の橋田康さん、日本テレビ報道局の下川美奈・社会部長とお伝えします。 <1>被害者への補償の現状は? <2>会社の約束は果たされた? <3>男性の性被害 社会は変わった? 以下では「<2>会社の約束は果たされた?」についてお伝えします。 (※<1>、<3>については別記事で配信)
SMILE-UP.東山紀之社長(去年10月) 「故・喜多川氏と完全に決別する決意を示すため社名を10月17日付で「SMILE-UP.」と変更していきます」 「被害を受けられた方々の補償をきちんと最後まで行い廃業いたします」 ジャニー喜多川元社長の性加害問題を受けて、「解体」されたジャニーズ事務所。去年10月に社名を「SMILE-UP.」に変え被害者の救済や補償に特化、補償が完了した後に廃業すると発表しました。 藤島ジュリー景子氏は手紙でこう表明しています。 (藤島ジュリー景子氏の手紙) 「今後わたしは補償とタレントの心のケアに専念し、それ以外の業務には一切あたりません」 「また今後わたしはすべての関係会社からも代表取締役を降ります」 そして―。 (藤島ジュリー景子氏の手紙) 「ジャニーズ事務所を廃業することが、私が加害者の親族としてやりきらねばならないことなのだと思っております。ジャニー喜多川の痕跡をこの世から一切なくしたいと思います」 また、“再出発のビジョン”として、再発防止のために人権方針など社内規定を整備。今後も再発防止策の進捗状況などを定期的に説明していくとしていました。
山崎誠キャスター 「ここからは2つ目のポイント「会社の約束は果たされた?」です」 「会社側が実際に今どうなっているのか整理していきます。ジュリー氏が社長を務めていた旧ジャニーズ事務所。今回の問題をうけ、社名を「SMILE-UP.」に変更し、被害者の救済や補償に特化した組織となりました」 「『SMILE-UP.』の社長は東山紀之氏で、ジュリー氏は『SMILE-UP.』の株式を100%保有しています。そして、新たに設立した『STARTO ENTERTAINMENT』はタレントのマネジメントや育成業務を行うエージェント会社で今年4月に本格始動しました」 「旧ジャニーズ事務所は事実上、解体され、ジュリー氏は『新会社の経営には関与しない』としていました。そして、ジュリー氏は10月の会見では手紙の形で、『今後すべての関係会社から代表取締役を降りる』と表明していました」
山崎キャスター 「ただ、私たちの『SMILE-UP.』への取材で、ジュリー氏は現在もグループ企業4社の代表取締役会長であることがわかりました。4社の内訳は、音楽や映像ソフトを製作・発売する2社、音楽に関する権利を管理する会社1社、コンサート制作・チケット販売を行う1社だということです」 「『SMILE-UP.』によりますと、ジュリー氏は、担当業務に応じて役員報酬を受け取っているということです。またグループ会社の一部では、配当こそ受け取っていないものの株主にとどまっているということです」 「なぜ、こうした現状になっているのか『SMILE-UP.』の山田CCOに取材しました」
SMILE-UP. コンプライアンス責任者 山田将之CCO(今月9日) 「実質的には経営にはいずれもすでに関わっていないと聞いています。適切な代わりの者・後任の人がいないとか手続き上の問題とか物事を変えるにあたっての段取りが進んでいないからということなのかなと理解しています」 「いただいたような問題意識は当然我々の中でもありますし、整理をしなくちゃいけないところだと思うんですが、いつのタイミングでどうなるかは私限りでは把握をしていないですね」
山崎キャスター 「物事が変わるに当たっての段取りが進んでいないという言葉もありましたが、『SMILE-UP.』側は、会長職については、近く後任の経営者を決定の上、順次、会長の地位から退任する方向で対応を進めているとしています。また、ジュリー氏が今後も株主を続けるかは「現在検討中」だとしています」 森圭介キャスター 「ジュリー氏が今もグループ会社4社の代表取締役会長で、グループ会社の一部で株主でもあるということですが、企業のガバナンスに詳しい青山学院大学の八田進二名誉教授は次のように指摘しています」 青山学院大学 八田進二名誉教授 「ジュリー氏がグループ会社を完全に手放すまでには一定の時間がかかり、難しいということはわかっている。ただ、代表取締役会長を退いたとしても、ジュリー氏が株式を持っている限り自分の都合のいいように経営者を選ぶこともでき、実態はなんら変わっていないように見える」
森キャスター 「下川さんは、この状況をどう見ていますか」 日本テレビ報道局 下川美奈 社会部長 「会社側は、ジュリー氏がどの会社で株主にとどまっているかについては「公表していない」として明らかにせず、また今後、グループ会社の株主を継続するかについても「専門家の助言を受けながら検討を進めています」としか説明していません。会長職については「退任する方向」と明言しているのに対して、歯切れの悪さは感じます」
森キャスター 「橋田さんはこの会社の体制についてはどう考えますか」 元ジャニーズJr. 橋田康さん 「僕の個人的な意見になるんですけど、根本として発信するということがすごく足りていないんじゃないかなと思います。会長の部分であったり、権利の部分であったりいろいろな弊害があることは分かるんですけども、今こういうことに当たっていてこういうものが進行できていません。こういう状況ですということを逐一発信し続けてくれていれば、いろいろな立場の人たちの安心につながるのではないかなと思います」 「昨年の記者会見をしてくださった時は、変化だったり発信に意欲的だった印象があるので、それが今はホームページに文言を載せるのみで終わってしまうので、どうなっているのだろう?雲がかっている状態がまた戻ってきている印象なので、発信をしっかりと、今こういう状況で、それがパーフェクトな状態でなくても発信を続けてくれることが、いろいろな人たちの安心につながるんじゃないかなと思います」 斎藤佑樹キャスター 「事務所側として、再発防止策について今後も定期的に説明していくと会見では話していましたが、橋田さんが考える再発防止策についてはどう考えていますか」 橋田さん 「再発防止策というよりも、発信を続けてくれることが今どういう状態で、事務所が悩んでいるのか、どういう壁に当たっているのかがわかることで再発防止につながると思ってしまうというか、誹謗中傷にフォーカスが当たっていますけど、言論の自由とか、おのおのの正義みたいなこと、被害者の方を守るための行動が、1つ2つとれていれば、そこにフォーカスが当たって、不満が募ることもなかったんじゃないかなと、個人的には思ってしまうので、それが再発防止にどうつながるのか分かりませんけども、そういうことの積み重ねが同じ事を繰り返さないということにつながっていくんじゃないかと思う」 森キャスター 「ジャニーズ事務所は会社のガバナンス、管理体制が脆弱とも指摘されていましたが変化は感じていますか?」 日本テレビ報道局 下川美奈 社会部長 「確かに、いまの『SMILE-UP.』は社内規定ができたり、取締役会も定期的に開催されたり、組織として体をなすようになって、ジュリー氏の一存で何か物事が決まるような状況ではなくなったと思いますが、一方で、これだけ大問題になったのだから、定期的に会見を開くとか、積極的に説明責任を果たすべきと思うのですけども、問い合わせてもメールでの回答のみ、何か発表する際にもホームページのみということで、内容についても報道されたものの後手後手の印象はぬぐえないです」 「今回はようやく私たちの取材に丁寧に対面で応えてくれ、山田CCOのインタビューには応じてくれましたが、会見や東山社長へのインタビューについては現時点では、やはり無理とのことでした」