牧場に到着した天皇ご一家。「ハロー!ブルー」色のメッセージを想起させる愛子さまの水色のワイドパンツ姿=2024年5月2日、栃木県高根沢町
5月の大型連休、天皇ご一家はそろって栃木県の御料牧場を訪問された。今春から新社会人になった天皇、皇后両陛下の長女愛子さまの装いは、やさしく明るい水色。未来を前向きに照らす今年の色として選ばれた「ハロー!ブルー」だった。日常を取り戻してきた社会と皇室、そして新しい生活をスタートさせた愛子さまからのメッセージのような装いだった。
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5月2日夕、御料牧場に到着した愛子さまは、七分袖の白いブラウスに水色のワイドパンツという清涼感のある装いだった。
その色合いに、ファッションジャーナリストの宮田理江さんは「2024年の色」として公表された「ハロー!ブルー」を思い出したという。
日本流行色協会は、年末に「来年の色」を発表している。
同協会はウェブサイトで、「単に来年流行する色という意味ではなく、また特定の商品分野に向けたものではありません。その年の人々の心や考えを表す色であり、世の中にむけた『メッセージカラー』として選定しています」と説明。
そして、2024年は「時代の混沌や世の中の不平不満を浄化し、未来を明るく照らし前向きにしてくれる色」として、さわやかな明るさのある「ハロー!ブルー」を選んだという。
■愛子さまの装いに「流行色」
皇室では、訪れる土地や行事に関係した色や装飾を身に着けるなど、装いに国民へのメッセージを込めることも少なくない。愛子さまもこれまでに、トレンドカラーをさりげなく装いに取り入れている。
昨年11月にご一家で皇居・東御苑の三の丸尚蔵館を訪ねた際、愛子さまは世界共通の色見本帳を作るアメリカの「パントン」会社が24年のトレンドカラーとして発表した「ピーチファズ」色のハンドバックを持っていた。
「ピーチファズ」色に込められたメッセージは、「愛する人たちのそばにいたいと願う気持ち」や「人と人とのつながり」。ご一家が鑑賞した、天皇陛下の即位5年と結婚30年を記念した特別展示に寄り添うようなカラーだった。
「愛子さまが、メッセージ性を持った24年の色である、やさしい水色を装いに取り入れたのは、『人に注目される立場』であることをよく理解なさっている表れのように感じます」
と宮田さんは分析する。
スカーフがついたような白ブラウスと水色の組み合わせは、清涼感のある清々し印象とともに、大人の女性へと成長する愛子さまのエレガンスな魅力を引き立てているという。
また、公務とは違う、すこし遊びのある愛子さまの髪型と小物使いも注目された。
「編み込みでひとつに結いあげた髪型は、トレンドの編み込みをふんわりと仕上げた休日らしいヘアスタイルです」(宮田さん)
■愛子さまのバレエシューズ
昨年夏、栃木県の那須御用邸でのご静養時には、「髪を切った」と明るく笑う愛子さまが話題になった。イメージチェンジをした髪型を楽しむように、髪をおろして横に細い編み込みで変化をつける愛子さまは、とても可愛らしかった。
とはいえ、あくまで大学生。お出かけ時などに、多少のアレンジを加えつつも、基本はひとつに結ぶポニーテールスタイルだった。
一方で、新社会人となった今回の愛子さまは、
「イヤリングも公務とは違い、縦長で動くと揺れるデザイン。小さなモチーフですが、手仕事技や緻密さを感じさせるほど凝った作りです」(宮田さん)
いつもより大人っぽく結いあげた髪型と、休日を感じさせる遊びのあるアクセサリーは、新鮮な印象を与え、SNSなどでも評判になった。
宮田さんは、愛子さまは流行への感度が高く、さりげなく服装に取り入れる上手さがあると話す。
御料牧場を散歩する際には、ご一家はリラックスした服装に着替えていた。
「愛子さまがお召しのチェックのトップスは、長く続くトレンド柄です。羽織った白系のカーディガンがチェック柄の面積を抑えることで、重ね着が映える好スタイリングに仕上がっています。足元のバレエシューズも、いまのトレンドアイテムですね」
牧場であっても、スニーカーやハイキングシューズではなく、あえてバレエシューズを選んだところに、みずみずしいファッションセンスを感じたという。
愛子さまの笑顔は、見る人を明るい気持ちにさせてくれる。そして愛子さまが選ぶ優しい色の装いからも、ご本人からの穏やかなメッセージが伝わってくるようだ。
(AERA dot.編集部・永井貴子)