難病胎児を母親のおなかの中で手術し成功 阪大などのグループ(2024年4月15日『NHKニュース』)

背骨の神経がゆがんで、うまく発育しなくなる先天性の難病の胎児に対し、母親のおなかの中にいるうちに手術を行い症状の一部を抑えることに、国内で初めて成功したと、大阪大学などの研究グループが発表しました。

これは、大阪大学医学部附属病院胎児診断治療センターの遠藤誠之副センター長らのグループが発表しました。

グループでは3年前の4月以降、背骨の神経がゆがんで、脳や運動の機能に障害が出る「脊髄髄膜瘤」という先天性の難病の胎児6人に対し、母親の子宮を8センチほど切開して、そこから胎児の背骨の神経のゆがみを治す手術を行いました。

このうち1人は、生後まもなく感染症のため亡くなりましたが、4人は無事に生まれて、脳の症状の一部を抑えることに成功したということで、別の1人は今後、生まれる予定だということです。

グループによりますと、この病気に対しては胎児のうちに手術を行うことで、生まれたあとに手術をする場合と比べ、症状がより改善するということで、欧米では広く行われていますが、国内では初めてだということです。

グループは、今後も手術を行って安全性や有効性を確かめ、早ければ3年後に実用化したいとしています。

遠藤副センター長は「出生前検査でこの病気がわかることもあり、今回の手術が病気の胎児と家族にとって、新たな選択肢となるよう体制を整えていきたい」と話していました。

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