核のごみ最終処分地 佐賀 玄海町の3団体 町に調査応募の請願書(2024年4月15日『NHKニュース』)

 

原子力発電に伴って発生する高レベル放射性廃棄物、いわゆる「核のごみ」の最終処分地の選定をめぐり、玄海原子力発電所が立地する佐賀県玄海町の3つの団体が町議会に対して第1段階の「文献調査」への応募を町に働きかけるよう求める請願書を出しました。

玄海町などによりますと、請願書を出したのは地元の旅館組合や、飲食業組合、それに防災対策協議会で、3団体がそれぞれ15日に町議会に提出したということです。

高レベル放射性廃棄物、いわゆる「核のごみ」は、長期間強い放射線を出し続けることから、地下300メートルより深くに埋めて最終処分を行うことが法律で決まっています。

処分地の選定に向けた調査は3段階で行われることになっていて、請願書の中で各団体は町議会に対し、第1段階の「文献調査」への応募を町に働きかけるよう求めています。

町議会は4月中に特別委員会を開き、対応を議論することにしています。

玄海町には九州電力玄海原発が立地し、4基ある原子炉のうち1号機と2号機が廃炉になり、3号機と4号機が再稼働しています。

請願書の提出について、脇山伸太郎 町長は「重く受け止め、内容を確認するとともに議会での議論を見守りたい」とコメントしています。

処分地の選定をめぐっては、北海道の2つの町と村を対象に全国で初めて行われた「文献調査」の結果、次の段階に進めるとした報告書案がことし2月にまとまりましたが、地元からは北海道以外への調査の拡大を求める声が上がっています。

こうしたなか去年、長崎県対馬市の市議会が調査の受け入れを求める請願を採択しましたが、市長はこれを受け入れない意向を表明していました。

調査に応じた自治体には交付金が用意されていて「文献調査」で最大20億円
、次の「概要調査」では最大70億円が支払われます。

玄海町議会議長「前向きに進めていきたい」

文献調査についての請願書が提出されたことについて、玄海町議会の上田利治 議長は「特別委員会の中で前向きに進めていきたいと思っている。議会だけでなく町民の皆さんにもわかりやすく説明できれば」と述べ、前向きに検討する考えを示しました。

そのうえで「この問題は立地自治体としての責務だと思っている。ただ、発電するだけで自分たちの役割が終わったというものではない。地元から出た廃棄物は協議しながら処分地を探していくのが筋だと思っている。今後とも全国的に呼びかけていきたい」と話しました。