関経連会長はどう見る? 万博まで1年「情報発信、最大の課題」(2024年4月13日)

毎日新聞

 2025年の大阪・関西万博は、13日で開幕まで1年になった。2度にわたる会場建設費の増額や海外パビリオン建設の遅れに厳しい視線が注がれ、今も開催そのものへの賛否が割れている。万博の意義や開幕に向けた現在の準備状況について、キーマンたちはどう見ているのか。関西経済連合会関経連)の松本正義会長が毎日新聞に寄稿した。

【写真特集】大屋根「リング」などの建設が進む万博会場

 私は2017年5月の関経連会長への就任と同時に、万博の誘致活動に携わってきました。18年11月にフランス・パリで開催されたBIE(博覧会国際事務局)の総会にて大阪への誘致を勝ち取ってからはや5年が過ぎ、いよいよ開幕に向けた準備のラストスパートに入ることに、大変な感慨を覚えるとともに、改めて気の引き締まる思いでいます。

 ◇経済の飛躍に極めて重要

 万博の会場となる夢洲では、各パビリオンをはじめさまざまな建物の建設工事も着々と進んでおり、徐々に会場の姿が目の前に現れ始めています。また、今後、パビリオンの内容や会場で開催される催事の内容など、万博で体験できる具体的なコンテンツも明らかになってきます。万博の姿・形が見えてくることで多くの皆さんに万博に興味・関心を持っていただけるものと考えています。

 経済界はこれまで、会場建設費の3分の1を負担してきたほか、パビリオンの出展、「未来社会ショーケース事業」をはじめとする万博のさまざまな事業への参画・協賛など、多くの協力をしてきました。

 これは「いのち輝く未来社会のデザイン」というテーマ、そして「未来社会の実験場」というコンセプトがこれからの社会課題の解決のために、そして、地元・関西経済のみならず日本経済の飛躍のためにも極めて重要であり、このチャンスを最大限にいかすべきだと考えているからです。おかげさまで、大変多くの企業から前売りチケットのご購入のお申し出もいただいており、万博への期待の高まりを一層感じているところです。

 ◇レガシー継承、知恵絞りたい

 残り1年、国内外の多くの皆さんにご来場いただけるよう、全国規模で積極的に情報発信していくことが最大の課題だと考えています。私は博覧会協会の「機運醸成委員会」の委員長も務めておりますが、博覧会協会、全国の自治体・経済界の力を結集して、万博開催の意義、魅力をしっかりと伝えていきたいと考えています。

 特に、開幕半年前となる今年10月からはパビリオンや催事の予約が可能となることから、この時期を「PR重点期間」に設定し、機運醸成活動を強化してまいります。

 また、今回の万博を一過性のお祭りに終わらせず、万博で実証、実装した技術やサービスを社会に根付かせていかなければなりません。政府では、関経連大阪府・市、博覧会協会などからの要望をもとに、ライフサイエンス、次世代モビリティー、環境・エネルギー、観光など、万博後を見据えて必要な取り組みを「大阪・関西万博アクションプラン」として取りまとめて公表しています。

 関経連としても、これらの取り組みが万博後のレガシー(遺産)として継承されていくよう、引き続き政府や自治体と一体となって知恵を絞っていきたいと考えています。

 1年後、国内外からの多くのお客様を万全の体制でお迎えできるよう、経済界としても国、自治体、博覧会協会とともに引き続き精いっぱい準備に努めてまいります。

 ◇大阪・関西万博の概要

・開催期間 2025年4月13日~10月13日(184日間)

・会場 大阪市此花区の人工島「夢洲(ゆめしま)」

・テーマ いのち輝く未来社会のデザイン

・公式キャラクター ミャクミャク ・参加表明国 161カ国・地域(24年3月14日現在)

・想定入場者数 2820万人 ・入場料(大人) 1日券7500円(前売りの「超早割」は6000円)