長谷川氏の言動 自治体と議員は対等だ(2024年4月9日『北海道新聞』-「社説」)

 自民党長谷川岳参院議員(道選挙区)の言動について、鈴木直道知事が幹部職員に聞き取りを行い、威圧的と受け止めた職員が複数いたことを明らかにした。
 鈴木知事は対応を改めるよう電話で申し入れた。長谷川氏は「改めていく」と陳謝したという。
 国会議員だからこそ、威圧的な言動が許されないのは当然だ。
 道職員が長谷川氏のもとへ頻繁に出張していたことや、政府の本年度予算成立時には、道が部長職の職員に対し、速やかにお礼の連絡をするよう組織的に通知していたことも分かった。
 予算獲得や政策推進に当たり、自治体の職員が国会議員を通じて省庁に要望したり、共に活動したりすることはあろう。
 ただ、特定議員を頼るあまり、ゆがんだ関係に陥っていないか、道は検証するべきだ。
 長谷川氏を巡っては、航空機内で客室乗務員を大声で威圧したと動画サイトで指摘された。長谷川氏は基本的に大声を出したことはないと否定している。
 札幌市職員が過度に叱責(しっせき)されているとの週刊誌報道もあった。
 これを受け、秋元克広市長は先月末の記者会見で「かなりきつい調子で話す方」と苦言を呈した。
 鈴木知事の聞き取りに加えて、道は5日、特に出張が多い幹部4人の昨年度の状況を発表した。長谷川氏に関連する出張は前ゼロカーボン推進監が25回、前水産林務部長が20回に上ったという。
 長谷川氏は職員を呼び出してはいないとの認識を示している。
 知事は出張は全て適正だったと説明したが、首をかしげざるを得ない多さだ。道は4人以外にも調査を拡大する。出張の経緯や目的など実態を明らかにすべきだ。
 札幌市はGX(グリーントランスフォーメーション)投資を呼び込む政府の金融・資産運用特区の指定を目指している。
 秋元市長は長谷川氏に中心的に関わってもらっていると説明した。市職員との関係が適切に保たれているか注意する必要がある。
 地方分権一括法の施行で国と地方は対等となった。それに照らせば国会議員と自治体職員の関係は上下・主従でないことは明白だ。
 国の政策や予算は必要性や優先順位に応じ決めるべきものだが、特定議員の力に一定程度左右されている実態があるのではないか。
 重要なのは透明性だ。議員らとの面会の詳しいやりとりを公文書として残し、情報を開示する姿勢が自治体側には欠かせない。