世耕氏、永田町の外でも正念場 近畿大トップ続投も風当たり強く(2024年4月5日『毎日新聞』)

 
記者会見場を後にする世耕弘成参院議員(左)=東京都千代田区で2024年4月4日午後6時52分、宮武祐希撮影拡大
記者会見場を後にする世耕弘成参院議員(左)=東京都千代田区で2024年4月4日午後6時52分、宮武祐希撮影

 自民党派閥の裏金事件で党から離党勧告を受け離党に応じる意向を表明した世耕弘成・前党参院幹事長(参院和歌山選挙区)は「家業」の近畿大理事長職は続投する方針だ。6日の入学式にも出席する考えを示しているが、近大内でも世耕氏への風当たりは強まっている。

 「近大マグロ」などで有名な学校法人近畿大学は世耕氏の祖父、弘一氏が事実上の創設者だ。法人理事長職を代々、主に世耕家で務めており、現在は世耕氏が理事長を務める。

 世耕氏は4日夜、離党の意向を表明した際、理事長職については「政治活動とは関係ない」と強調し続投を表明。6日の入学式についても「今のところ予定通り考えております」と参加する考えを示した。

 しかし近大では教職員有志が「裏金事件」の渦中にいる世耕氏が大学のトップに君臨することを問題視し、辞任を求める署名活動を始めている。事件前まで首相の座への意欲を示し、衆院への「くら替え」も取り沙汰される世耕氏。政治力の源泉ともなり得る理事長ポストを守り切れるか、永田町の外でも正念場を迎えている

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 世耕氏は5日、安倍派参院議員で構成していた「清風会」メンバーが国会内で集まる会合に出席。同会は既に解散しているが、会長を務めていた世耕氏の呼びかけで開催され約30人が出席した。出席者によると、世耕氏は党内処分の根拠について「受ける側なので、よく分からないところもある」と話したという。世耕氏は会合後、記者団に「おわびとこれまでの経緯を説明した。それだけだ」と言葉少なに語った。

 出席者からは、裏金問題で安倍、二階両派の39人が処分されたことに関し「処分の基準があいまいだ」という不満の声が上がり、今後も旧清風会のメンバーで勉強会を開こうなどとの提案があったという。出席者の一人は「世耕氏の処分は厳しすぎると全員が思っているはずだ。会はなくなったが、つながりまで絶たれたわけではない」と話した。

 ただ、世耕氏の他にも、複数の旧清風会メンバーが党の役職停止などの処分を科された。同会幹部だった議員は「今後このような形で集まることはないだろう」と語り、安倍派関係者は「世耕氏は参院幹事長というポストで求心力を保っていた。地位がなくなり、離党した世耕氏のもとに人は集まりにくいだろう」と解説した。【竹内望、遠藤修平】