建設業のデジタル化どう進める? 野原グループ・野原弘輔社長に聞く<じっくりトーク>(2024年3月31日『東京新聞』)

 
 建材販売などを手がける野原グループ(新宿区)が、建設産業のデジタルトランスフォーメーション(DX)に力を入れている。4月から残業規制の強化で人手不足などが深刻化する「2024年問題」に直面する建設業界。野原弘輔社長(46)は「生産性向上が課題の本丸だ」と強調する。(山中正義)

◆「人と機械による共創の時代」

建設産業でのDX推進について語る野原グループの野原弘輔社長=東京都新宿区で

建設産業でのDX推進について語る野原グループの野原弘輔社長=東京都新宿区で

 1598年(慶長3年)の創業以来、時代や社会の変化に応じて業態を変えながら存続してきた。今は「人と機械(デジタル技術を含む)による共創の時代」。建設業が抱える効率の悪さという課題への解決策として、デジタル化がキーワードになっている。
 効率の悪さは、業界特有の複雑な産業構造が原因。例えばビル1棟を建設するにも発注者や設計者、施工者など、下請けも含めて多くの事業者が関わってくる。そのため情報共有に支障が生じやすく、事業者間での作業のやり直しも多い。

◆建設工程の関係者をつなぐ

 根本を変えたいと思った。そこで図面や工期、コストなどの情報を一元的に管理できる仕組み「BIM(ビム)」を活用して建設工程の関係者をつなぎ、生産性向上を実現するクラウドサービス「BuildApp(ビルドアップ)」の事業を2021年度から始めた。
 内装や建具工事を中心に一部の現場で実証を重ねながら改良を進めており、今夏からの本格的なリリースを予定している。対応できる工種も順次拡大し、全工種への展開を進める。業界内でデジタル化の必要性に対する理解も高まっており、追い風も感じる。将来は海外へも展開したい。

オフショット 昨年から華道を始めました。季節を感じられ、同じテーマで花を生けても人によって違う作品になるところが面白いです。

昨年から華道を始めた野原弘輔社長

昨年から華道を始めた野原弘輔社長