天皇、皇后両陛下の長女・愛子さまは、3月26日に伊勢神宮(三重県伊勢市)を参拝し、27日神武天皇陵(奈良県橿原市)を参拝したあと、近鉄特急と新幹線を乗り継ぎ帰京された。おひとりでの参拝や地方訪問は初めてだった。印象的だったのは愛子さまの笑顔だ。マナーのプロとともに、愛子さまの気配りの笑顔を振り返る。
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26日の名古屋駅は、大混雑だった。伊勢神宮に向かうため、東海道新幹線から近鉄特急「賢島行き」に乗り換える愛子さまをひと目みたいという人たちが訪れた。 愛子さまが乗り換える5番線ホームの反対側は多くの人が集まり、黄色い点字ブロックからはみ出そうなくらいだ。
「敬宮さま!」「愛子さま!」と声がかかると、愛子さまは声のする方に目を向けて微笑んで手を振られ、近鉄特急に乗り込まれた。今回の訪問先で、愛子さまは終始笑顔だった。
■愛子さまの笑顔の持つ力
愛子さまの笑顔に、大手企業のマナーコンサルティングやNHK大河ドラマ、映画などのマナー指導も務めるマナーコンサルタントの西出ひろ子氏は、「素晴らしい」と絶賛する。
「2月9日のケニアのルト大統領夫妻を招いての昼食会(午餐)午餐デビューのときもそうでしたが、今回もとても自然で私たちを幸せな気持ちにさせてくださるお姿でいらっしゃいました。
お一人での地方訪問は初めてということでいらっしゃいましたが、それにも関わらず全てが自然で、慣れていらっしゃるという印象すら感じてしまうほどでした。 何より素晴らしいのは、始終笑顔でいらっしゃることです。特にお迎えの方たちと対面したときの笑顔は素晴らしかったですね。どこに行かれても歓声が湧き、それに対して、会釈を繰り返し、手を振りながら笑顔を絶やさずに私たちに配慮くださるお姿は、素晴らしいとしか言いようがありません」
西出氏が愛子さまの笑顔は、「本物の笑顔」だったと話す。
「私の著書にも記したことがあるのですが、本物の笑顔と作り笑顔は本当に違っていて、“本物の笑顔=デュシェンヌ・スマイル”として研究もされていて、論文もあります。
作り笑顔は口角は上がっている。一方でデュシェンヌ・スマイルは口角が上がっていて、目じりにシワがよるように目の周りの筋肉も動いているとのこと。実験では、後者の方が、喜びを感じる割合が高いという結果もあります。目が微笑んでいるという本物の笑顔は、心からの喜び、すなわち内面からくるものと考えられます」
■愛子さまを見たいという気持ち
愛子さまが乗り換えた名古屋駅や鳥羽駅などだけでなく、今回の訪問では行く先々にたくさんの人たちが愛子さまを見たいと集まっていた。そこにも「愛子さまの笑顔が関係している」と西出氏は指摘する。
「今回の訪問先での歓迎ぶりもそうですが、いま愛子さまが皆さんから称賛され関心を集めているのは、心からの笑顔を私たちに向けてくださるからではないでしょうか。愛子さまの笑顔は、無理をして笑顔にしようなどの様子は全く感じられず、自然で、何の引っ掛かりも感じられません。
いつもお伝えしております通り、マナーとは、相手の立場に立つことです。笑顔を見ることで人の心は癒されたり、明るくなれたりします。笑顔は相手、周囲へプラスの影響を与えることが多いものです。
今回愛子さまは初めておひとりで地方へ出向かれたわけですが、本来であれば緊張の面持ちであるのかと思いきや、終始笑顔でした。
そこには、礼節も保ちつつも、自分自身も“初めてのことを楽しもう”というお気持ちもあったのではと私は思います。いい意味で現代の若者らしさも感じられました」
西出氏はもう一つ、今回の訪問で素晴らしかったことがあるという。それは「姿勢」だ。
「歩き方の姿勢も素敵でしたね。伊勢神宮参拝では特に、ロングドレスにヒールをおはきになり、玉砂利の上を外宮に向かい美しく堂々と歩かれました。 ロングドレスにヒールをはくと、足元を気にして猫背になったり、歩きにくいわけですが、さすが、美しい歩き方も身についていらっしゃいます。また一段上に上がるときのお姿もとても美しいドレスのラインになっていました」
■愛子さまがただ美しいわけではない
たしかに、写真でもわかるほど、愛子さまの純白のロングドレスのラインは美しい。西出氏は、その美しさを単なる歩き方によるものではないと指摘する。
「あのような道をあれほど姿勢を崩すことなく美しく歩いていらしたのは、本当に素晴らしいと感じました。
また、愛子さまは単に歩き方が美しいというわけではありません。あの姿勢と歩き方の元にあるのは、全ては気持ち。内面からきていると思います。日頃から姿勢や歩き方も意識なさっていらっしゃるのであろうと、その在り方にも心を動かされました。
笑顔にせよ姿勢にせよ、すべては内面からにじみ出るもの。愛子さまの内面からのオーラは、幸せな気持ちにさせてくださいますね」
西出氏は、愛子さまの午餐デビューでも指摘していたが、今回の訪問でも改めてこう語る。 「愛子さまの表情やお姿は、天皇陛下にも似ているときがあるし、雅子さまにも似ているときがあると感じます。そこからも安心や和みなどの愛を感じられました」
確かに御料車の窓から笑顔で手を振る愛子さまの姿に、天皇陛下と雅子さまの所作や姿が重なった。天皇陛下と雅子さまの“本物の笑顔”が、愛子さまにも受け継がれているのだろう。
(AERAdot.編集部・太田裕子)
◎西出ひろ子/マナーコンサルタント、マナー評論家、マナー解説者。大学卒業後、参議院議員秘書職を経て、マナー講師として独立。31歳で渡英。オックスフォード大学大学院遺伝子学研究者(当時)と英国にて起業。帰国後、企業のコンサルティングをはじめ、大河ドラマや映画、CMなどのマナー指導など多方面で活躍中。近著に「マナーのカリスマが大切にする 私スタイルの暮らし方」(主婦と生活社)など著書多数。
太田裕子
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