乙武洋匡氏を都民ファーストが擁立 衆院東京15区補選 小池百合子知事は国政復帰を見送り知事3選出馬か(2024年3月29日『東京新聞』)

 
 東京都の小池百合子知事は29日の定例会見で、自身が特別顧問を務める地域政党都民ファーストの会」が、衆院東京15区補選(4月16日告示、28日投開票)に、作家の乙武洋匡氏(47)を擁立することを明らかにした。自民、公明などに支援を要請する。東京15区を巡っては小池知事の国政復帰に向けた出馬も取り沙汰されていたが、可能性は消滅。都知事選への対応には明言を避けたが、3選出馬への流れがさらに強まりそうだ。

◆「日本大改革の担い手に」

 小池氏は、先天性四肢欠損の障害がある中で作家などとして活動してきた乙武氏について「政策の発信ができるという点でぴったり。今まさに日本大改革が必要で、その担い手として頑張ってほしい」と述べた。
記者会見する小池百合子東京都知事=29日

記者会見する小池百合子東京都知事=29日

 一方、都民ファーストの会が国政進出に向け立ち上げた政治団体「ファーストの会」は同日、乙武氏が副代表に就任したと発表した。
 東京15区補選は、公職選挙法違反事件で起訴された柿沢未途前法務副大臣自民党を離党)の議員辞職に伴い行われる。裏金問題の逆風に苦しむ自民が公募に踏み切れない事態に追い込まれており、都ファと自公が連携して候補擁立する案が以前から浮かんでいた。小池知事は、自民や公明などへの支援要請について聞かれると「広くご支援いただけるところにお願いする」と述べた。また、関係者によると国民民主とも連携する方向で調整しているという。

◆「都政をしっかり進めていく」都知事選は6月告示

 6月20日告示の知事選に出馬するかどうかについて問われると、今月末に都新年度予算が成立したことに触れつつ「都政をしっかり進めていく」と述べるにとどめた。ただ、自公内にも小池氏が出馬した場合の支援が取り沙汰されるなど、出馬に向けた障害は元々少ない。知事選告示まで3カ月を切ったタイミングで東京15区出馬の可能性がなくなったことで、3選出馬を既定路線化する見方がさらに広がるとみられる。
乙武洋匡氏=2022年5月撮影

乙武洋匡氏=2022年5月撮影

 乙武氏は東京都生まれ。早稲田大在学中に出版した「五体不満足」がベストセラーになった。2022年7月の参院選東京選挙区に無所属で出馬したが、落選している。
 15区補選では、日本維新の会の新人金沢結衣氏、共産党の新人小堤東氏、参政党の新人吉川里奈氏、作家の百田尚樹氏が代表の政治団体「日本保守党」の新人飯山陽氏、元自民衆院議員の秋元司氏が立候補を表明している。